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(写真=PIXTA)


年内は「クジラの逆噴射」等で需給悪化するも、数年後には2万4,000円が視野に

世界中の株価が急落した。しかし、世界経済が根本的に変わったわけではなく、市場心理の悪化が主な要因と考えられる。日本企業の業績に大きく影響する為替レートを客観的にみれば今期も大きな円安効果が期待できるうえ、原油安によるメリットも乗るので大幅増益は間違いない。

年内は米利上げや郵政3社の上場に伴う需給悪化で年末は2万円程度が予想されるが、年明け以降は業績の緩やかな改善と株主還元強化によるROE改善で、数年後には2万4,000円が視野に入るだろう。


中国の株価急落をきっかけに、世界経済の先行きに不安感が広がった

ギリシャ問題がようやく落ち着いたと思った矢先、今度は中国を震源地に世界中の株価が大きく値下がりした。6月後半以降の上海株急落をきっかけに中国の景気減速が意識され、それがアップルやキャタピラーなど米国企業の業績悪化を連想する形で伝播、さらにコマツや村田製作所といった日本企業の株価にも飛び火した格好だ。

原油や銅などのコモディティ価格が下げ止まらないことも新興国をはじめとする世界経済の雲行きを怪しくさせており、投資家をリスク・オフ(弱気)に傾けているようだ。

また、株式市場は米国の利上げに関しても神経質さを増している。8月19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が公表されると、その内容から景気回復の度合いが芳しくないとの見方が広がり米国株式市場は値下がりした。ほんの少し前までは米国の経済指標が悪い内容でも「利上げ先送り」を期待して株価が上昇していたのと正反対だ。

翌20日、欧州各国で株価が大幅に下落すると、米国市場では中国経済の減速が世界経済に影を落とすとの不安が広がったことから売りが膨らみ、ダウ平均はついに1万7000ドルの大台を割り込んだほか、S&P500指数も約6ヶ月ぶりの安値に沈んだ。

この流れを受けて大幅マイナスで始まった21日の日本株市場は、上海株式市場の下げ幅拡大が重荷となり、午後には下落幅を500円超に広げた。結局、21日の日経平均株価は反発らしい反発を見せることなくほぼ単調に値下がりし、19,435円(前日比597円安)で取引を終えた。

【図1】日本・米国・中国の株価推移