③個人向け国債の特徴
不確実性下での投資対象として個人向け国債が検討に値するのには、個人向け国債には一般の国債とは異なる特徴が2点存在するからです。
まず1点目は、個人向け国債の10年物に限った特徴になりますが、変動金利であるという点です。現在の日本は、日本銀行が、経済を活性化するため金利を低く抑えたうえで、経済の好転からの安定的なインフレを目指していますが、インフレが達成されればいずれは金利は上昇します。なぜなら、上にも述べた通り、インフレ下においては債券投資は回避される傾向にあり、金利は自然と上昇することになるからです。そこで、将来のインフレが視野に入ってきている現在において、固定金利の債券で運用することは避けるべきといえますが、個人向け国債の10年物であれば変動金利で運用できるため、金利上昇による機会損失を回避することが可能になります。また仮に、デフレが継続した場合でも、金利は低下してしまいますが、投資元本の価値は時間の経過とともに相対的に上昇しますので、投資対象としては有用であるといえます。
次に2点目の特徴としては、個人向け国債は、発行から1年を経過すれば、直近2回分の手取りの利息額を支払うことで、換金が可能だということです。一般の債券の場合、当該債券の発行体が換金に応じてくれるということは通常ないため、換金したければ市場で売却することを余儀なくされます。しかし、債券は株式と異なり、自らの思い通りの金額で売却をすることは困難なことが多いため、売却に伴い損失を被ることが想定されます。その点、個人向け国債は、市場で売却する必要はなく、元本割れすることもありません。そのため、インフレが定着し、債券を保有していては価値が相対的に低下してしまい、損失を被ってしまうと判断した場合には、換金という手段を採ることで損失を回避し、他のインフレに強い金融商品に乗り換えるという選択も可能になります。
以上のように、個人向け国債は、リスクが低いうえ不確実性下においても柔軟に対応できるため、現在のような状況では検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
④個人向け国債をポートフォリオに組み込む
昨年末から年初にかけてのアベノミクスによる金融相場のように、相場が一方向に動いているときにはその流れに乗って投資を行えばよいわけですが、経済の先行きが見えにくくなり相場が不確実性を伴っている場合には、リスクを抑えた投資が必要になってきます。そこで、今後は、インフレ・デフレの両睨み作戦が必要となるでしょうから、債券や株式、為替等を自身に合った形でポートフォリオに組み込んでいくことが重要です。そして、その際には、個人向け国債を利用することが有用だということを認識しておいて頂きたいものです。
現在の世の中には様々な投資対象が存在し、すべての対象について認識を深めるというのは不可能でしょう。しかし、一般的には認知度は低いものの、投資対象としては有用であるものも数多く存在します。そのため、自らのアンテナを高く張っておいて、自分に合った投資対象を貪欲に探し求めるという姿勢が重要です。
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BY DY:個人投資家
photo:財務省HP