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ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店(写真=ZUU online)

ROE(自己資本比率)が20%を超え、アパレル業界の優秀児と呼ばれたユナイテッドアローズ <7606> に異変が起こっている――。

ユナイテッドアローズが5月に発表した2014年度の業績は、過去最高益の更新を見込んでいたが、一転して6年ぶりの営業減益に落ち込んだ。減益の最大の原因は、商品価値と価格のバランスがうまくいっていなかったことだ。

円安による輸入コスト増をカバーするため実施した2014年の秋冬商品の値上げは、高額品以外にもシャツやカットソーなど定番品を一律値上げしたことが影響し、客数が低下。客単価でカバーしきれなくなったたのだ。さらに在庫処分のためアウトレット店や催事セールでの値引き販売を増やしたことによって、粗利率も悪化した。

値上げが本当の原因なのか?

値上げについては、同じく業界の勝ち組と言われるユニクロも定番品の値上げに踏み切り、業績が悪化している。

他の大手衣料品アパレルが前年増となるなか、ファーストリテイリング <9983> が8月に発表したカジュアル衣料店ユニクロの国内既存店売上高は、前年同月比6月11.7%減、7月1.5%減。2カ月連続で前年割れとなった。昨年4月の消費税率引き上げの際にも、内税から外税への価格表示切り替えで実質の値上げをしており、以降、客数は前年割れになる月が増えていた。

あるアパレル関係者は言う。「セールで値下げをしすぎることで、顧客の定価に対する不信感が芽生えてしまった。今のセレクトショップは、値段に見合うが高い割には特徴もを出し切れていないのではないだろうか」

業績悪化には本当に値上げ以外の、よりが原因なのだろうか?もっと本質的な原因がありそうだ。

「ここでしか買えない」がない時代、セレクトショップの役割は終わり?

数年前はブームを巻き起こしたセレクトショップも、最近はその存在感も低下している。かつてセレクトショップは、「商品や情報の無い時代の便利なお店」だった。敏腕バイヤーが国内はじめ世界中から仕入れてくるトレンドの先を行くアイテムを着用してさえいれば、“センス良くみられる”という保証があった。だからセレクトショップでしか取り扱いがない最新トレンドの商品を購入するために、おしゃれに敏感な人々はこぞって通った。

しかし今は、SNSやキュレーションメディアなどで情報を集められるし、自分好みの商品・スタイリングを見つけて購入までできてしまう。影響力を及ぼすカリスマ的バイヤーも影をひそめ、昔はブランドの顔としてもてはやされたブランドプロデューサー達も次第に消えていった。今ではInstagramでコーディネートを紹介するインスタグラマーのほうが、プロではないにも関わらず大きな影響力を持つようになっている。

前出のアパレル関係者は、「商品は価格と品質と満足感のバランスが取れてはじめて売れる。高くても品質が価格以上であれば買うし、そうでなければ買わない。ブランドタグを付けただけの商品に海外価格の倍以上の価値がないことに消費者は気付いてしまった」と指摘する。