◆ユーロドルレート
◇8月の動き
月初1.09ドル台半ばからスタートし、月末は1.12ドル台前半に。月初に1.09ドル台半ばでスタートした後、好調な米経済指標を受けたドル買いで5日に1.08ドル台後半に下落。ただし、その後はギリシャ支援の実務者協議合意を受けて、11日には1.10ドル台後半まで上昇。さらに、中国不安によるユーロキャリー取引の巻き戻しなどから12日には1.11ドル台後半を付ける。
その後はボックス圏での一進一退の動きが続いたが、市場のリスク回避姿勢の強まりと米利上げ観測の後退を受けて、24日には1.15ドル台にユーロが急騰した。月終盤はリスク回避地合いがやや緩和したことで、ユーロが売られ、月末は1.12ドル台前半で終了した。
◇当面の予想
昨日のECB理事会を受けてユーロ圏の緩和長期化観測が高まったことで、足元は1.11ドル台前半に低下している。最近はユーロがリスク回避通貨の色彩を強めているため、市場の不安が収まるか否かがユーロドル相場に大きく作用する。
基本的にはしばらくは市場の不安が払拭されず、ユーロキャリー取引が停滞することでユーロドルも高止まりしそう。ドル円同様、目先の焦点は本日の米雇用統計だが、結果が強すぎると、一時的にリスク回避のユーロ買いで下げ渋る展開も。
(*1)日銀は2013年4月4日に金融政策の誘導目標を無担保コール翌日物からマネタリーベースへ変更したため、厳密には現在、日本の政策金利という概念は無くなっている。
上野剛志
ニッセイ基礎研究所 経済研究部
シニアエコノミスト
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