金融市場(8月)の動きと当面の予想

◆10年国債利回り

◇8月の動き

月初0.4%台前半からスタートし、月末は0.3%台後半に。月の上旬は0.4%付近での膠着した推移が続いたが、12日には人民元切り下げを受けて中国不安が高まり、0.3%台半ばへ水準を切り下げる。

その後はやや持ち直しの動きを見せ、17日には0.4%に迫ったが、その後は世界的なリスクオフの流れや米利上げ観測の後退に伴う米金利低下を受けて低下基調となり、20日には0.3%台半ばへ。その後は株安を受けての債券益出し懸念からやや上昇したが、月末にかけて0.3%台後半での推移が継続。

◇当面の予想

今月に入り、原油価格上昇などから若干上昇したが、足元は再び0.3%台後半にある。今後もしばらくは、中国不安や米利上げに対する不透明感から株価が不安定になりやすく、安全資産としての債券選好が強い状況が続くだろう。原油価格も需給の緩みに大きな変化はないため、持続的に上昇していく可能性は低い。従って、長期金利は低位で推移しそうだ。

ただし、市場が9月の利上げを急速に織り込みにいく場合や実際に9月に利上げが実施された場合は、米金利上昇が波及する形で、やや水準を切り上げることになるだろう。

日米欧長期金利の推移

◆ドル円レート

◇8月の動き

月初124円台前半からスタートし、月末は121円台前半に。月初、124円台前半で推移した後、好調な米経済指標を受けた9月利上げ観測の高まりで、6日に124円台後半へ上昇。その後、概ね良好な米雇用統計結果を受けた米株安で一旦124円台半ばまで円が買われたが、12日には人民元切り下げを受けたドル高圧力で125円台に乗せる。

しかし、その後は中国不安によるリスク回避地合いとなり、円が買われたことで13日に124円台前半となり、しばらく同水準での推移となったが、リスク回避の流れが強まるとともに、米利上げ観測後退も巻き込んで円高ドル安が進行。20日は124円を割り込み、25日には119円台半ばを付ける。月終盤はリスク回避がやや緩み、月末は121円台前半で着地した。

◇当面の予想

今月に入ってからも、市場の不安は続き、足元では119円台半ばまで円高が進んでいる。先月のピーク時に比べればリスク回避度合いは緩和しているとみられるが、未だ続いていること、先般の円急伸で円を積極的に売っていた投資家が相当なダメージを負い、円売り意欲が削がれたとみられることから、当面は円安が進みにくくなった。

目先の焦点は本日の米雇用統計。本来なら、結果が強い場合はドル高要因となるが、強すぎると「米9月利上げ観測急上昇→米株安→リスク回避」という経路で円高に振れる可能性も。市場予想より若干弱めの20万人増前後だとややドル高反応か。

ドル円レートの推移