自社ブランドによる展開も視野に入れる

同社は今回の買収を「シティホテル事業の第1弾に位置付ける」としている。しかも、星野代表は「今回の4つの物件はすごく面白いセットだったが、4都市以外にも魅力のある街はまだまだ多い」としており、都市型観光に優れた札幌や仙台、名古屋などへの展開も検討しているという。

今回は経営権の取得だけにとどまるが、「いずれは当社のブランドでこの分野の運営も手掛けたい」(星野代表)とする。さらに、星野代表は「今のシティホテルは観光客のニーズを十分に満たせていないのでは」とも問題提起する。

宿泊客のために時間や空間を演出するのは、まさに同社の"十八番"だ。当面はシティホテルの運営方法を「学習」し、数年後に"星野流"を導入するのでは、とみられている。

星野リゾート・リート投資法人によると、同社の事業規模は14年11月期で営業収益250億円、経常利益14億円。400億円の投資は決して軽い負担ではない。それでも、ホテル業界の常識を次々と打ち破ってきた星野代表だけに、確信めいた勝算があるのだろう。

同社は来年、東京・大手町に「星のや東京」の開業も控えている。こちらは都市型の高級リゾートという、もう1つの「挑戦」だ。今回のシティホテル事業参入も含めた多角化が星のリゾート、さらにはホテル業界にどんな変革をもたらすのか。関係者の注目が高まっている。

(この記事は9月8日号「 経済界 」に掲載されたものです。)