新たな提携先と会長の引き際、後継者問題

スズキの鈴木修会長はフォルクスワーゲンとの提携を解消した8月30日の記者会見で、「スッキリした。自立していくことを前提に考え、他社との提携は考えていない」と語った。

たが、この先どのメーカーとも提携せず、独自の路線を進み続けるとは考えにくい。スズキの燃費向上技術は飛躍的に進歩したのだが、次世代の環境技術では遅れを取っているからだ。

一方で今回の経験から、海外の自動車メーカーとの提携に鈴木修会長が慎重になっていることも間違いなく、提携相手を見つけるのは容易ではないだろう。相手にしても、他社とここまでもめたスズキとの提携に及び腰になる可能性は十分にある。

そして、ここにはスズキが抱えている別の深刻な問題が関係する。それは85歳になる鈴木修会長の引き際と後継者の問題だ。

今年、長男の俊宏副社長が社長兼最高執行責任者(COO)に就任したが、修氏は今なお会長であり、最高経営責任者(CEO)でもある。

もともと修会長は提携解消問題が片付くまで社長をやる考えだったが、しびれを切らして今年6月、長男に社長職を譲っていた。その意味では、提携問題に道筋がついたことで、引き際と考えている可能性はある。

とはいえ、過去に会長職を退きながら、新社長の退任や金融危機後対策のために社長に返り咲いたこともある修会長はまさにスズキの顔。彼のカリスマ性があってこそ同社がここまで成長してきたともいえる。後継候補にしてみれば、比較されるのを分かっていながら、また自動車産業が急成長を期待できる分野ともいえなくなっているなかで後を継ぐのは容易ではない。

スズキが直面しているのは、再婚相手探しだけではなく、主人の交代という実に深刻な問題だ。(文・フリーライター 鈴木博之)

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