為替相場に悩む女性
(写真=PIXTA)

公的年金制度だけでは豊かな老後の生活を送るのが難しい時代、自分でも老後に備えようと個人年金保険への注目が高まっている。中でも、利回りが高い保険として外貨建て個人年金保険は人気が高い。多くの保険会社で取り扱いがされており、通貨や運用期間など商品の種類も豊富だ。今回は、この外貨建て個人年金保険の商品性と、購入する上で注意するポイントをまとめてご紹介しよう。

外貨建て個人年金保険とは?

外貨建て個人年金保険とは、保険料の支払いや保険金の受け取りを米ドルやユーロ、オーストラリア(豪)ドルなどの外貨で行う個人年金保険である。外貨で支払った保険料はその国の国債などで運用され、一般的に円貨よりも利回りが高くなる傾向がある。特に長期運用をする場合には、円貨と比べ大きな差が出てくるのが特長だ。さらに、保険料を支払う時と、保険金を受け取る時の為替相場によって、円に交換した時の金額が大きく変わる。保険会社によっても異なるが、保険料は一括支払いタイプが主流。また、保険金の受け取りは、年金方式だけではなく、一括受け取り方式も指定できる。

鍵を握るのは為替相場

外貨建ての商品は、保険料の支払いも年金原資も外貨。そのため、年金を受け取る時の為替相場が保険料支払い時に比べて円高になった場合は、大きく損をしてしまう可能性がある。

例えば5万豪ドルを保険料として一括で払い、10年間運用する豪ドル建て一時払い個人年金保険を考えてみよう(計算を簡単にするため手数料等は考慮しない)。保険料支払い時の為替が1豪ドル=100円だったとすると、自分で支払った保険料は500万円となる。この5万豪ドルの資産が10年後に年金原資7万豪ドルとなった場合、為替レートが変わらず1豪ドル=100円であれば700万円の受け取りになる。

ここで、年金受け取り時のレートが1豪ドル=120円の円安になった場合を考えてみよう。受け取り年金額は840万円となり、運用益と為替差益で340万円も利益が出たことになる。一方、年金受け取り時に円高になっていた場合は大問題だ。保険金受け取り時に1豪ドル=70円の円高になっていたとすると、年金原資は円で490万円となってしまう。10年間も運用したにもかかわらず、逆に損をしてしまうことになる。