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(画像=NISSAN)

「32GT-R」もしくは「R32」と聞いてピンと来た人は、かなりのクルマ好きであろう。2.6リッター直列6気筒エンジンにインタークーラー付きツインターボを装着、280馬力を発揮した「不敗神話の“R”」と呼ばれたそのクルマこそは、1989~94年に発売された8代目日産スカイラインGT-Rである。

海外では「ゴジラ」の愛称で親しまれる

R32は、それまでのモデルで伝統的に継承されてきた運動性能の高さに、4WDとFR(後輪駆動)の長所を併せ持つ「アテーサE-TS」を内蔵した、日産自動車の技術の粋を集めたクルマとして大きな話題を呼んだ。そこには、モータースポーツの世界で連戦連勝をおさめてきた「不敗神話の“R“」を16年ぶりに復活させるという、開発担当の伊藤修令氏の熱い思いが込められており、日本のみならず海外でも根強い人気を誇っている。ちなみに、海外のマニアの間ではR32を「ゴジラ」のニックネームで呼んでおり、文字通り日本製モンスターマシンとして広く親しまれていた。

この1年ほどで中古価格が2倍に高騰

ところで、中古車情報サイトで常時100台前後の在庫を有している販売店のR32の価格を見ると、状態の悪いもので80万円台、良好なもので500万円近くの値がつけられている。20年から25年以上経ったクルマにこれだけのプレミアムがつけられているのだから、その価値を推し量るのはそう難しくないことである。

気になるのは、この1年ほどの価格動向だ。カーマニアが集まるSNSでは昨年から「近所の中古車販売店でR32の価格が上昇している」との書き込みがなされるなど度々話題になっていたが、その背景としてまず一番に指摘されるのが、アメリカのカーディーラーの存在だ。

一部マニアの間ではR32の中古価格が上昇し始めた頃から「アメリカのディーラーが(R32を)買い漁っている」との情報が流れていたが、現実問題としてこの1年で価格が2倍以上に跳ね上がったものも珍しくない。では、なぜここにきてアメリカでR32の人気が高まっているのだろうか。

背景にアメリカの「25年ルール」規制

1989年に誕生したR32はアメリカでの直販が見送られたという経緯がある。一説によると当時の日米貿易摩擦の影響とも言われているが、問題はアメリカで直販されていないクルマは、製造後25年経過しないと輸入できないという「25年ルール」の規制を受けることだ。そのため同国のカーマニアはR32が欲しくても手がでないという状況が長年続いていたのである。

その「25年ルール」がようやく解除されたのが2014年であり、これを受けてアメリカのカーディーラーが来日、中古車販売店でR32を大量に買い付けたことが一連の価格上昇を招いたという見方が有力だ。中古販売店によれば「日本で200万円のR32を仕入れて、アメリカに輸入すると円換算で500〜600万円で売りさばける」とまで言われており、それほどのリターンが得られるのであれば、わざわざアメリカから買い付けに来るのも理解できる。