(写真=ZUU online編集部)
元総務大臣の竹中平蔵氏(外為どっとコム総研首席研究理事)と元外交官で作家の佐藤優氏の対談が9月23日、都内で行われた。難民や中国を、安保法制の議論などさまざまなリスク要因について両者が議論を交わした。
移民法のない日本、難民受け入れの割り当てられる?
「世界経済が先読みできる!超インテリジェンス教室」と題して行われた対談は、外為どっとコム主催「TOKYO GAITAME SHOW2015」のイベント。会場の品川インターシティーホール定員約700人だが席はほとんど埋まっていた。
竹中氏が冒頭、「今年1月のダボス会議でリスク要因として指摘された、中東の不安定情勢、ギリシャを中心としたユーロの問題、中国・新興国、アメリカの利上げなどすべてが顕在化している」という現状認識を述べて幕開けした。
佐藤氏は最近の問題として欧州における難民の受け入れについて触れ、「日本もイスラム国解体に関連して人道支援として2億ドルの拠出を表明しており、(難民の)製造者責任ということで、難民の受け入れを割り当てられる可能性がある。欧州のNGO、NPOが成田経由で中南米に行く航空券を出し、成田空港や関空まで来た難民がそのまま住むというブダペストと同じ状況が生まれかねない」と指摘した。
難民や移民問題について竹中氏は「日本にはそもそも移民法がなく、受け入れについては官僚のさじ加減。この際、移民法をつくっておくべきだ」と述べた。
戦争反対は当たり前。安保法案は必要だ
(写真=ZUU online編集部)
安保法制の問題についての議論では竹中氏は「霞が関では『戦争反対』と書かれたプラカードを見たが、戦争賛成の人いるはずがないし、安保法制が戦争に直結するわけではない」と指摘。「議論が足りないというのは野党の責任、理解が深まっていないのはメディアの責任だ」と述べた。
安保法案を通過させたことを評価したうえで、「『戦争に巻き込まれる』という人がいるが、日米安保の議論のときの社会党の主張と同じ。いみじくも岸首相の孫である安倍首相が「抑止力」ということをいっているが、日米安保が戦争に直結したでしょうか?」と疑問を呈した。
佐藤氏はたとえとして、「(安保法案通過は)警官が拳銃のホルスターの蓋を外しただけで、今後取り出したり安全装置を外したりするようなときはまた議論が必要だし、そうなるはずだ」と述べ、「明日にも戦争が始まりそうなことを言う人がいるが、あり得ない」と断じた。