伝説の投資家に学ぶ成功の秘訣
ウォーレン・バフェットが本物の天才と呼ばれるのは、数々の複雑な概念を、時を経てなお色あせることのないシンプルな言葉で語ることができるからだ。
生涯を通じて、教えを乞う者に惜しみなく助言を与え、尊敬を込めて「オマハの賢人」と呼ばれたウォーレン・バフェット。
1960年代、彼は自身の運営する投資パートナーシップのメンバー投資家に向けた、年2回の書簡を通して様々なアドバイスを発表した。その後数年たって、彼の格言はバークシャー・ハサウェイ社の年次総会や投資家向け年次書簡を通じて公開されるようになった。そしてこれまでの20年間で、バフェットの名は数々のTV出演や雑誌のインタビューを通して広く知れ渡ることとなった。
ウォーレン・バフェットの、人生と投資に関わる「5つの至言」を紹介しよう。
5つの至言
アインシュタインは人間の知性には5つのレベルがあると言った。「smart(利口)」から始まり「intelligent(知的)」、「brilliant(輝くばかりに優秀)」「genius(天才)」と段階が上がり、行きつくのは「simple(シンプル)」であると。ウォーレン・バフェットの5つの至言はどれも、人生と投資における真実を、この上なくシンプルな言い回しで教えてくれている。
1.「金持ちになる方法を教えよう。皆が貪欲な時に臆病に、皆が臆病な時に貪欲でいることだ」
安く買って高く売る、という投資の要をこれ以上ないほどシンプルに言い表した言葉だ。長年にわたって投資で大成功をおさめてきたバフェットの根幹をなすものであり、投資家たちがわずかな気の迷いを起こさないように救う言葉でもある。
2.「大学生諸君に申し上げる。今の私の年齢になった時に、自分を愛してほしいと思う人が、本当に自分を愛してくれていたなら、君たちの人生は成功だ」
バフェットは生涯を通じて、あまたの成功者たちについて研究してきた。1日の終わりに思い出そう、人生でもっとも大切なものはお金なんかじゃないと。
3.「成功者と真の成功者との違い、それは真の成功者たちはあらゆることに『NO』と言えるということだ」
スティーブ・ジョブス、ビル・ゲイツそしてウォーレン・バフェットなど、多くの達人たちは、ひとつのことに集中することで成功を手に入れた。より多くの成果を生み出そうとして、長い「やることリスト」をつくる人が多いが、偉業を成し遂げたいなら「やらないことリスト」をつくることの方が実は大切なのだ。
4.「私は多くの人が酒とレバレッジで失敗するのを見てきたー借金でてこ入れするレバレッジだ。そうまでする必要などどこにもない。賢明でありさえすれば、借金などせずに大金を手にすることはできるはずだ」
成功する者がその人生でたどる道はさまざまで幾通りもあるが、失敗はわずかなパターンに限られる。学ぶべきものは、他者の成功例よりも失敗例の中に多く潜んでいる。
5.「投資家に必要なのは選び抜いたビジネスについて正しく評価する能力だ。『選び抜いた』という言葉に着目してもらいたい。あらゆる企業についての専門家である必要はないし、ましてやその数が多ければよいというものでもない。自分の力量の範囲内で、企業の見極めをすればよいのだ。その範囲の大小は問題ではないが、その限界を知ることは非常に重要だ」
投資に関して私がもっとも嫌いな語録のひとつに、ピーター・リンチが投資の極意をシンプルに語った「自分の知っているものを買え」という言葉がある。バフェットの言葉もほぼ同じ概念を表しているが、企業を評価する能力をもち、よくわからない会社への投資を避けることが大切、と強調している。よりシンプルでわかりやすい。
ウォーレン・バフェットの語る言葉が多くの人に引用されるのは、彼が生涯を通して莫大な量の金言を残してきたからだ。彼はどうしてこのようなことができたのか。
ウォーレン・バフェットの成功の秘密
ウォーレン・バフェットの成功の鍵は、彼がたゆまず学び続けたことにある。今のバフェットは50年前の彼よりもずっと優れた投資家だ。投資家チャーリー・マンガーはこう語っている。
「ウォーレン・バフェットは、出会ったころよりもずっとずっと優秀な投資家になった。それは私も同じだ。我々がどこかの時点で、自分の知識に満足してぴたりと歩みを止めていたら、これほどの実績を上げることは到底できなかったはずだ。学び続けてこそ勝機が得られるのだし、学ぶ過程を好きになれない者は学び続けることなどできないはずだ」
一生学び続けることの大切さこそ、我々がバフェットから受けるべき一番のアドバイスと言っていいだろう。
ダン・ゾンバック(提供: The Motley Fool )