オタフクソースは食文化伝道師として活動
日清製粉 <2002> の中国工場は上海に販売会社を設立し、国内営業に注力し始めた。もともと中国のローエンド小麦粉メーカーと競合しないよう、てんぷら粉などの高付加価値商品専門の工場として進出しているため、順調に販売を伸ばすことができた。中国消費者のいいモノ志向の高まりを追い風に、いまも右肩上がりの成長を続けている。
また2013年に進出したオタフクソース(本社・広島市)の中国工場は、最初からたこ焼き・お好み焼きの食文化伝道師を兼ねて活動している。同社の戦略は、中国市場の開発と完全にセットとなっている。これが成功すれば今の中国であっても事業は大化けすることも十分考えられる。
ブランド力欠ける「メードインチャイナ」
中国市場向けに力を入れる工場は生き残り、輸出向け工場は淘汰が一層進む。日系など外資系工場は、おおむねこうした色分けがはっきりしてきた。
では中国企業の場合はどうだろうか。付加価値創出力が低く、人件費に敏感な服装縫製業界を見てみると、国内工場への輸出支援策は、すでに何もなくなっている。地方政府や国有資産管監委員会などは、友好国であるカンボジアへの工場進出を、手続き、税制面などで積極的に後押ししている。
また中国国内のファッション専門店チェーンも、OEM委託生産先を国内から、東南アジアに振り向ける動きを見せている。つまり中国の縫製工場は、輸出も内需も失いつつあるという厳しい状況に直面しているのだ。
全産業的に俯瞰して見ても、日系など外資系の、たとえば日清製粉のような技術的にアドバンテージのある工場が内販強化へ向かえば、商品開発力の低い中国企業はますますローエンドから抜け出せなくなる。しかもボリュームゾーンでもあるだけに、景気の変動に直撃されやすい。このままでは中国は、“世界の工場”から“中国の工場”へと収縮し、しかもその担い手は外資系となってしまう。だがどうやら習近平は、それでもいいと思っているようである。
今回のアメリカ公式訪問で真っ先に発信したのは、中米投資協定だった。規制を緩和してでも是非誘致したいのだろう。そこには外資の技術を導入し続け、ブランド力に欠ける“メードインチャイナ”を、ハイテクでまとって再構築しなければ、中国の工業そのものが立ちゆかなくなるという強い危機感があるのではないだろうか。(ZUU online 編集部)
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