どのように引き継ぐのか
新所有者は敷金返還債務をどのように引き継ぐのであろうか。実際の売買においては、売買価格から前所有者が預かっている敷金の額を差し引いて取引することになる。つまり、物件価格が100だとした場合、預かっている敷金が20だとすると、実際の売買価格は80で取引をすることによって、敷金返還債務を引き継ぐのだ。このようにオーナー同士で売買価格の調整をすることで、新しいオーナーが敷金を預かっているという形にするのが通常だ。
実際には返還するお金を持っていない
新所有者は敷金返還債務を売買価格から差し引くことで引き継ぐことになるが、ここで問題となるのが、実際には返還する敷金を持っていないという点だ。
例えば、前所有者が2カ月分の敷金を預かっていたとする。ワンルームマンションを購入して、たまたますぐに入居者が退去してしまった場合、新所有者は敷金を返さなければならない。売買を行った直後でお金のない新所有者にとっては、いきなりの敷金返還は手痛い出費だ。入居者の退去に備え、新所有者は敷金を返還できるキャッシュを準備しておく必要がある。
既に不払い賃料の充当がされていないか確認する
売買の際には、前所有者と入居者の間で賃料の不払いが無かったかどうかを確認しておく必要もある。もし不払いによって敷金が賃料に充当されていたら、その分返還敷金は減るが、新所有者にとっては賃料不払いの担保が減っていることになるため、注意が必要だ。
3者押印でトラブルを未然に回避
突然オーナーが代わったことにより、敷金が本当に戻ってくるのか不安となるのは実は入居者のほうである。
そのため、購入後は「賃貸人の地位承継通知書及び同意書」という形で前所有者、新所有者、入居者の3者で敷金の返還内容も含めて押印しておくことがトラブルの回避になる。敷金は物件投資で最初に出くわす問題である。正しい知識を仕入れてから売買を行うのが良いだろう。(ZUU online 編集部)
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