李克強指数とは?

それでは、李克強指数とはいったいなんだろうか。李克強指数とは現在、中国首相(国務院総理)を務める李克強氏が遼寧省トップの時に外国メディアに対する信頼出来る統計数字として挙げたもので、以下の3点だ。

1.電力消費量
2.銀行融資
3.鉄道輸送量

李克強指数はこの数字を統合して作られている「チャイナ・モメンタム・インジケーター」指数として既に使われており、一部投資家はトレーディングツールとして使用している。

電力消費量は2014年前半までは前年同期比5%台の伸びだったが、14年後半から下がり出し、15年では横ばい圏の動きだ。鉄道輸送量は13年後半まではプラス圏で推移していたが、15年からは10%程度のマイナスが続いている。

李克強指数を独自に指数化した三井アセットマネジメントの指数では、2015年では前年比25%の伸びだったものが12年には5%の伸び、13年には10%台の伸びだったものが現状では5%を割り込むなど低迷状態が続いている。2015年の中国政府見通しでは実質GDPの伸びが7%で、16年の政府見通しでは+6.8%とやや控えめな数字となっている。

7月15日に発表された4-6月のGDPの伸びは7%だったものの、8月に発表された中国の7月貿易統計では輸入額が前年比-8.1%と9ヶ月低迷、輸出も-8.3%と衝撃のマイナス発表が相次ぎ、突然の元切り下げと続いた。


曖昧な楽観から悲観へ それでもまだ中国の成長は続く

中国は現状では景気刺激策を出してきており、中国人民銀行は政策金利を0.25%まで下げているのに加え、政府は中国国家開発銀行と中国農業発展銀行に対して3000億元の債券発行を認めるなどの対策を行っている。

直近ではニューヨークで開かれた国連総会で、習近平氏による発展途上国への膨大な援助策も発表している。AIIB(アジアインフラ投資銀行)でも中国は指導的な役割を果たそうとしている。日本では中国に対する曖昧な楽観から、一時的に極度の悲観的な見方になったものの、現状では中国は一時的な供給過剰状態だが、まだ景気浮揚策を採り出しており、以前ほどではないが成長は持続するという見方が通説となっている。

一部評論家が重視している、中国との貿易が大きな割合を占める豪州市場の統計では、昨年末の対中国貿易は底値だったが、現状では回復傾向にある。今後、中国経済を見るためには、李国強指数などを参考にしながら、より精度の高い中国経済への分析を行いたいものだ。(ZUU online 編集部)

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