グローバル・マクロ・ビュー(世界経済の基本観)

◆日本(日銀追加緩和期待がやや高まる)

日本では4-6月期に続き7-9月期もGDPのマイナス成長が続き、技術的な景気後退に陥るリスクが懸念されるほか、インフレ率も8月分コアCPIが前年比マイナス0.1%と2%目標からますます遠ざかる中、先週金曜には安倍首相と黒田日銀総裁の会談が設けられたこともあって、早ければ10月30日の決定会合で追加緩和が行われるのではという期待が更に高まっています。

もっとも、黒田総裁は7-9月期のプラス成長回帰、および物価の上昇基調の維持について自信を示しており、インフレ率についてはエネルギーを除けばプラス1.1%と述べるなど、原油安の影響を除いた「日銀版」コアコアCPIに焦点をシフトするなど、目先の追加緩和姿勢を示していません。

◆米国(前回から利上げ期待が更に小幅後退)

10月2日発表の米雇用統計の予想比低調に続き、9月FOMC議事要旨でも利上げに向けた積極的な議論がみられずハト派的な内容だったとの評価が多く、年内の利上げ開始期待が更に後退しているようです。もっとも、一部FOMCメンバーは依然として年内利上げ開始の可能性を主張しており、年内利上げ期待は依然として残っています。

◆欧州(前回からの変更なし)

ユーロ圏では、原油安などの影響でインフレ率が再びマイナス化した中で、追加緩和の必要性が高まっている面がありますが、一方で最近はECB高官が追加緩和に関して慎重な発言が相次いでおり、目先の追加緩和期待は高まっていません。

◆新興国(前回からの変更なし)

中国では、10月1日発表の公式製造業PMIが市場予想を若干上回ったことや、国慶節の連休明けに株価が上昇したこともあって、不安感が後退する面がありましたが、中国の景気減速懸念は払しょくされていません。10月26-29日開催予定の第18期党中央委員会第5回全体会議(五中全会)に向けて、追加的な財政・金融政策面での刺激期待(利下げ、預金準備率引き下げなど)が残っています。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部

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