(写真=PIXTA)
今週の注目レポート・重要ニュース
◆米国
先週の米国市場は上昇しました。ハト派的なFOMC議事要旨を受けて年内の利上げ観測が後退したことなどにより週を通して堅調な展開が続きくと、ダウ平均は8日に節目の17,000ドルを8月19日以来約1ヵ月半ぶりに回復しました。昨年12月下旬以来およそ9カ月ぶりの7日続伸で週の取引を終えたダウ平均は週間で600ドルを超える上昇となっています。
◇FOMC議事要旨
米連邦準備理事会(FRB)が8日に公表した9月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、多くの委員が米景気の緩やかな回復や雇用情勢の一段の改善を受けて利上げの条件がすでに整っているか、年内に整うとの認識だったことがわかりました。
しかし、中国や新興国情勢への警戒感がさらなるドルの上昇や、石油などと他の商品価格の下落につながり、短期的に米国のCPIを押し下げたかもしれないとして、数人の委員はインフレ率が中期的に2%の目標に徐々に近づくとの確信は強まっておらず、インフレ見通しの下振れリスクへの懸念を示していたこともわかりました。
つまり米経済が9月の利上げ実施を正当化する状況に近付きつつあることを確認しつつも、世界の景気減速が米景気を逸脱させないとの一段の確証を待つことが賢明との判断に至っていたことが改めて明らかになりました。今回の議事要旨では金利据え置きの決定をめぐり激しい論争が繰り広げられた様子がみられず、内容がハト派的だったとして議事要旨の発表を受けて株式市場は大幅高となりました。
◇米小売売上高
14日に9月の米小売売上高が発表されます。前回は自動車とガソリン、建材、外食を除いたコア小売売上高が前月比0.4%増となり市場予想を上回ったことで、利上げ期待を反映しやすい米2年債利回りが2011年4月以来の水準となり、株式市場も大幅高となりました。今回のコア小売売上高は前月比0.3%増と前回の伸びを小幅に下回る見込みとなっています。
◇米CPI
15日に9月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。前回は変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数が前年比1.8%上昇にとどまり市場予想を下回ったことで早期の利上げ観測がやや後退しました。今回もコア指数は前回同様に1.8%上昇が見込まれています。前回のFOMCではインフレの下振れリスクも指摘されていたることからCPIの動向がより注目されます。
◇米国企業の決算発表
今週から米国企業の7-9月期の決算発表が本格化します。今回は主要企業で4%強の減益が見込まれていますが、先週8日に主要企業で先陣を切って発表された非鉄大手アルコア(AA)の決算は大幅減益で、市場予想も下回り株価は大きく下落しました。
今週は13日にJPモルガン・チェース(JPM)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、インテル (INTC)などが、14日にウェルズ・ファーゴ(WFC)、バンク・オブ・アメリカ (BA)、ネットフリックス((NFLX)などが、15日にゴールドマン・サックス(GS)、シティグループ(C)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)などが、そして16日にはゼネラル・エレクトリック(GE)などが決算発表を予定しています。
4-6月は当初マイナス予想が終わってみれば小幅なプラスとなりましたが、今回も予想を上回る決算となるかが注目されます。