ショックに強い業種、弱い業種

仮に波乱相場が再来した場合に備えて、リーマンショック時の業種別の株価推移を確認しておこう。

図8に示したように、パリバショック直前の07年6月末~株価が底入れした09年3月の騰落率ワースト3は不動産、鉄鋼・非鉄、金融(除く銀行)で7割近い下落率であった。ワースト3にこそ入らなかったものの、TOPIXより大きく下落したのは銀行、機械、電機・精密、商社・卸売、自動車・輸送機で、いずれも輸出関連・景気敏感セクターと呼ばれる業種だ。

一方、値下がり率が小さかったのは、電力・ガス、食品、情報通信・サービス、運輸・物流、医薬品で、一般的にこれらの業種は下落相場に強いことから内需・ディフェンシブ・セクターと呼ばれる。

ここから2つのことが読み取れる。1つはリーマンショックのように数年に一度という頻度で発生し、マグニチュードが大きくかつ急激な下落相場でもディフェンシブな業種が相対的に強く、輸出関連や景気敏感セクターのほうが下落率が大きいことが確認できる。もう1つは、最終的に大きく値下がりした業種はショック当初から下落率が大きく、株価が底入れするまでディフェンシブ業種とのかい離が開く一方であった。

株式市場が上昇・安定しているときは成長期待・値上がり期待から輸出関連・景気敏感株が注目されやすいが、ひとまずショックが起きるとこれらの業種ほど急速に値下がりする可能性が高い。

教科書的どおりショックに備えて投資資金の一部をディフェンシブ銘柄にシフトするとリスク分散が図れよう。また、ショックの発生を感知した場合は、景気敏感セクターほど早めに損切りすることが肝要だということが示唆される。

株式市場 図8