ワクチン接種に効果はあるのか?

そもそも「インフルエンザワクチンは効くのか?」という問いが浮かんでくる。

厚生労働省は「インフルエンザQ&A」で、インフルエンザワクチン接種の効果について説明している。口や鼻から体の中に入ったインフルエンザウイルスが細胞に侵入して増殖する状態を「感染」というが、ワクチンに感染を完全に抑える働きはない。

ウイルスが増えて数日の潜伏期間を経た後、発熱やのどの痛みなどインフルエンザの症状が起きる状態が「発症」だ。ワクチンには、この発症を抑える効果が一定程度認められるとしている。

多くの場合、発症1週間程度で回復するが、中には肺炎や脳症などの重い合併症が現れることがある。これをインフルエンザの「重症化」といい、ワクチンには重症化を予防する効果があるとしている。


慶大研究チーム「子供に発祥防止効果なし」?

ただし、ワクチン接種の効果については、様々な議論がある。例えば、2015年8月、慶應義塾大学などの研究チームは、インフルエンザワクチンを接種しても、6〜11カ月の乳児と13〜15歳の子どもでは発症防止効果がないという研究成果を米科学誌『Plos One』に発表した。

2013年11月〜2014年3月の間、同大学の22関連医療機関を38度以上の発熱があって受診した6カ月〜15歳の小児4727人のデータを分析し、インフルエンザへの感染の有無とワクチン接種の有無を調べ、A型、B型などタイプごとに発症防止効果を統計解析したものだ。

6〜11カ月では、患者が最も多かったA型で発症防止効果が認められず、13〜15歳では、A型、B型とも効果が認められなかった。B型については、全年齢のうち26%に効果が認められたにとどまった。

また重症化予防効果について、重症化の可能性がA型全体で76%、A(H1N1)亜型で90%減ることが認められたのに対し、B型では重症化予防効果が認められなかった。研究班は、中学生の年代に該当する13〜15歳で効果が認められなかった理由が今後の検討課題だと指摘している。

ワクチン接種は、体力の弱い高齢者や子ども、基礎疾患のある人にとって特に重要だが、効果に関する不明点・疑問点もある。まずは、かかりつけ医など最寄りの医療機関や自治体の予防接種担当窓口に相談することが必要だ。 (ZUU online 編集部)

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