安倍首相肝入りの「介護離職ゼロ」は実現するか

この大問題に対して、安倍晋三首相は新たに掲げた経済政策「新三本の矢」の中で、「介護離職ゼロ」を目標に掲げた。具体的には、都市部での介護施設の整備や介護人材を育成することで、在宅介護の負担を軽減する社会づくりを推し進めるとしている。

また、介護制度自体の整備についても改善を進める姿勢を政府は示している。現在は、まとめてしか取得できない介護休業制度を、分割して取得できるよう改める介護休業法の改正も検討されており、経済やビジネスの現場にも大きく影響してしまう可能性を孕んだ問題に真剣に取り組もうとする意図がにじむ。

さらに、2020年代初頭にはこの目標を達成するとし、首相肝いりの一億総活躍担当相が取り組む課題にも「介護離職ゼロ」の実現を挙げているが、公約の中でも特にハードルが高いともいわれている。施設の整備費用や介護職の人材不足への取り組みも不透明で、首相の発言は具体策に乏しいという意見も少なくない。


突然やってくる介護、そのときアナタは?

一人ひとりのビジネスマンにとっても「介護離職」は必ずしも、避けて通れる問題ではない。もし一人でも介護を必要とする家族が出てくれば、自身でその役割をはたさなければならなくなる可能性が濃厚だからだ。その点では、万が一の時に備えて「介護離職」ショックに巻き込まれないように、備えておくこともビジネスマンとして必要な備えなのかもしれない。

最初に必要なのはもちろん、介護休業制度についてよくよく理解しておくことだ。会社としてどのような制度を設けておかなければならないか、あるいは通算で93日を上限とする介護休業を認めなければならないといった点を押さえておけば、組織制度としてはまず十分だといえるだろう。

それでも個人レベルでは、いつ、どのような形で介護をしなければならない環境に直面するかわからない。そこで介護休業制度や民間の介護サービスについて情報を収集しておくなど、予め準備をしておけば、心配する必要もなくなるだろう。利用して仕事と両立している人も少なくはない。最近は介護者向けの支援団体も増えている。「介護をやめる」「家族の介護こそ他人に」という割り切った考えも時には必要だ。

また、SNSなどを利用して介護者間のコミュニティに参加したり、情報を共有することもオススメする。同じ仲間がいるとわかるだけでも随分と精神的に開放されるだろう。 (ZUU online 編集部)

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