ポイント2.日銀追加金融緩和が実施される可能性は?

円レートを見るうえでもうひとつ重要なイベントは、日銀の追加緩和の有無である。市場では10月30日の金融政策決定会合で追加緩和が決まるとの観測が高まっている。わが国の生産、消費の基調がこのところ弱く、7-9月の経済成長率が2四半期連続のマイナスになる恐れが出てきたためだ。

しかしその確率は3割程度とみる。日銀は今月初旬開催の同会合で、中国に代表される海外の景気減速懸念を意識しつつも、「デフレ解消は今なお進捗中」、「予想インフレ率の基調は安定」との基本スタンスを変えていない。「サプライズ好き」とも見える黒田総裁が市場の期待に素直に応じるだろうか。なによりも、限られた切り札はいざというときまで温存しておきたいだろう。

中国経済の行方は衆目を集めるところだが、円レートに与える影響は微妙である。減速感が強まって米国の利上げがさらに遅れれば円安になりにくい一方、中国経済の弱さが日本に重くのしかかれば日銀の追加緩和決定を後押しする。逆に、減速が止まると米利上げの支援材料になるが、日本の追加緩和の必然性は薄れるかも知れない。


為替レート当面の底値は「黒田ライン」の1ドル125円

市場の注目は米国の失業率から経済成長そのものに移ってきた。また米国経済は強くなるほど利上げの、逆に日本経済は弱くなるほど追加緩和の環境が整い、円安が進みやすいということになる。両国経済がこれとは逆に向かったり、ギリシャなどの欧州債務問題の再燃や他の地政学的イベントで投資家心理が再びリスクオフに転じたりすれば、円高に進みやすくなる。

今後は円安進行を予想するものの、その余地は限られるかも知れない。①米国の利上げが非常に緩やかなペースと予想される、②わが国の貿易赤字が縮小している、③年金資産の構成見直しが一巡して対外証券投資の鈍化が見込まれる、などドル買いのインセンティブが鈍っているのがその理由だ。

今年6月に最安値126円弱をつけた直後、黒田総裁が「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということはなかなかありそうにない」とコメントした。これを根拠とすると、円ドルレートは「黒田ライン」の1ドル125円程度が当面の底値だろう。(ZUU online 編集部)

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