カルビー綱干弓子氏
(写真=ZUU online編集部)

「フルグラ」が大人気だ。カルビー <2229> は約70億円を投資して、栃木県宇都宮市の清原工場にフルグラ専用の2ラインを増設する。2016年4月からフルグラの年間生産額は350億円以上となる。カルビーでフルグラ事業に携わるマーケティング本部の綱干弓子氏に、大人気の理由を伺った。


「第3の朝食」の成功原点はグラノーラの「日本化」

グラノーラとは、麦や玄米などの穀物加工品とナッツ類に、蜂蜜やシロップ、植物油を混ぜて焼き固めたシリアル食品。フルグラは名の通り、フルーツとグラノーラの食感を味わえるカルビーのヒット商品だ。

流通経済研究所などの調査で、2015年7月にフルグラはパン・シリアル類の売上ランキングで1位になっている。金額シェアで食パンの有名ブランドを抜き、その後も度々、首位を獲得している。フルグラはご飯(お米)、パンに並ぶ「第3の朝食」として日本の食卓での存在感を高めている。

網干氏はカルビーを「日本人の味覚に合う商品、特に食感をきちんと作り出すことで成功した会社」と説明する。「かっぱえびせんは、さくさく。ポテトチップスは、パリパリ。そしてフルグラは、ザクザク」といわれれば納得だ。フルグラの成功についても、「ここ(食感を作り出したこと)にフルグラの成功原点があったのかなと思います。アメリカで愛されているグラノーラは、どちらかといえばぼそぼそとした食感の自然派食品。これを本場の味として紹介するのか、日本人向けの味にして商品化するのか。開発当時、議論が二分化されていたと聞いています」という。


97年ごろからが第1次成長、2012年から第2次成長

1980年代、一人の開発部員がアメリカでオーツ麦を使ったグラノーラと出会う。64年の「かっぱえびせん」、75年の「ポテトチップス」に続く第3の柱を立てるべく、カルビーはグラノーラを日本人向けの味にアレンジして商品化することを決断した。

最初はフルーツのない「グラノーラ」を88年に発売した。1991年にフルーツ入りが登場して、開発当初は「グラノーラ」「フルーツグラノーラ」の2商品で顧客を獲得していった。

当時はシリアル市場の一角にグラノーラの熱心なファンがいて、社内でも「美味しい」という評価がありながらも、年間10億円の線を上下しながら伸び悩んでいた。それが90年代後半まで続き、グラノーラ事業は「もう止めてしまおうか」と存続の危機を迎えたことがあったという。

しかし、社内の意見は「やっぱり美味しいよね」。そこでフルーツ入りの「フルーツグラノーラ」に製品を一本化して資源を集中させて、営業と販促に力を入れたところ1997年から成長ラインを描き出し、年間10億円を抜けて30億円の線に向かっていった。フルグラの「第1次成長」といわれている。網干氏は「栄養に優れていることを伝えてきた食品でしたが、『美味しさ』を伝える方針に変えました。フルーツ入りで美味しくて、栄養がある。そんなハイブリッドな食品であることをお伝えしていきました」と解説する。

1995年にりんご、2002年にいちごを採用。ぐんぐんと伸びて2011年に37億円に達する。この年に商品名を「フルグラ」に変更した。フルグラは「第2次成長」に入り2012年に63億円、2013年に95億円、2014年に143億円。2015年は200億円を超える見込みだ。