年金支給額は下がる一方、国民年金と厚生年金の保険料は上昇し続けている。国民年金を例に挙げると、1970年に450円だった保険料が、1990年に8400円、2010年に1万4980円、2016年には1万6260円まで上昇している。また、今後特に心配されるのが、増加していくと思われる非正規雇用者の生活だ。不安定な雇用で保険料の未納が増えている。また、勤めていた会社から一方的に契約が打ち切られたことで、実際に親が再び子どもの生活を支えるケースも出てきているのである。


技術進歩で医療費高騰に拍車

医療費の問題も切実だ。厚生労働省の「国民医療費調査」によると、65歳以上の一人あたりの医療費は年々上昇し、2006年度の65万9800円から11年度の72万900円と、5年間で6万円以上増えている。

65歳未満の場合、一人当たりの医療費は上昇傾向ではあっても17万円台で推移しており、高齢者の医療費は現役世代に比べ大幅に高くなっていることがわかる。これは、長寿化と医療の高度化が原因であると考えられている。 医療技術の進歩によって、患者が死亡するまで高度な医療を提供できる環境が整い、結果として高齢者の医療費が高騰しているのである。


退職準備金は2人で最低3000万円

では安定した老後生活を送るためにはどれくらいの貯蓄が必要なのだろうか。フィデリティ退職・投資教育研究所が全国の会社員(正規雇用・非正規雇用)、公務員、自営業者を含む勤労者約3.2万人に調査した「2014年4月退職準備状況に関するアンケート」によると、「退職後に必要となる公的年金以外の必要額」の平均は2952万円だった。一方で、夫婦2人がゆとりを持って老後生活を送るためには1億円は必要という試算もあり、寿命やライフスタイルによって必要額は大きく変化することも確かだ。

貯蓄があっても、保険外診療で高額な医療費を負担したり住宅ローンが残ったりしている場合は、貯蓄がみるみる減ってしまうケースもある。事業や投資に失敗することも致命的になる。年金に頼ることのできない今、老後の備えはますますしっかりとしておく必要がありそうだ。 (ZUU online 編集部)

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