SMBC日興証券・鳥井裕史氏
(写真=ZUU online編集部)

SMBC日興証券と日興アイ・アールは25日、個人投資家向けのJ-REITイベント「SMBC日興J-REITフェア」(後援:一般社団法人不動産証券化協会、株式会社日本取引所グループ)を開催した。その基調講演で、SMBC日興証券の株式調査部・シニアアナリストの鳥井裕史氏は、「東証REIT指数は向こう半年で2000ポイントを目指す」と強気の見通しを示した。以下はその要旨である。


J-REIT市場を取り巻く環境は概ね良好

東証REIT指数は、今年1月19日の高値2000ポイント乗せを境に下降基調を辿り、9月10日には場中で一時1500ポイントを割り込みました。昨年来の上昇は、オフィス市況の改善に加えて、日銀の量的金融緩和で長期金利が低下したことが大きな要因ですが、年明け以降は度重なる公募増資(物件取得)によるJ-REIT市場の需給悪化と、ギリシャ問題が再浮上したこと、さらに中国の景気減速懸念などを背景に下降基調を辿りました。

もっとも、現在のJ-REIT市場を取り巻く環境は概ね良好です。J-REITによる物件取得(外部成長)はピークを過ぎており、今後減少傾向を鮮明にさせてくると、結果としてエクイティファイナンスのペースも緩やかになって需給環境は改善する可能性が高まります。こうした需給環境の改善に加えて、オフィスを中心とした内部成長の顕在化、魅力的なインカムゲインを受けてJ-REIT市場は堅調に推移することが予想されます。


不動産賃貸市場は空室率・賃料ともに回復

内部成長について、もう少し詳しく説明します。まず、オフィス市況は改善傾向を強めています。背景には、東京都心のオフィス空室率が2012年後半から回復していることに加えて、市況賃料も昨年前半には上昇に転じていることが挙げられます。市況賃料とJ-REIT保有物件の既存賃料との間には2013年末時点で5%程度のギャップがありましたが、今後はオフィス市況の改善に伴い既存賃料も反転上昇する公算が大きいでしょう。

住宅市況も底堅く推移しています。賃貸住宅の空室率は安定的ですが、東京圏への人口流入は継続しており、需給環境は悪くありません。住宅市況は景気変動に対するディフェンシブ性が高いこともポイントとなります。

商業施設、物流・インフラ施設も長期固定契約により安定的な賃料収入を確保しています。消費環境が改善傾向にあることに加えて、ネット通販等の広がりにより物流施設へのニーズは旺盛といえるでしょう。物流施設は大量供給ではありますが、需要も堅調に推移していることを加味すると過度な懸念を抱く必要はありません。