国内投信・銀行に加えて、外国人投資家動向にも注目

こうした不動産賃貸市場の改善は、J-REITの市場環境にも好影響をもたらします。オフィスを中心とした賃料の上昇に超低金利環境が加わり、キャピタルゲイン獲得を狙う投資家と、インカムゲイン獲得期待を持つ投資家の動きが活発化することで良好な需給環境が期待されます。

ちなみに、今年9月におけるJ-REITの投資部門別売買動向では、投信が8カ月連続で買い越しました。投信の買いは、公募増資の対応に追われて低下する場面も見られましたが、それもピークを過ぎたことから再び買い意欲を強める兆候が認められます。

加えて、銀行(日銀を除く)が3カ月ぶりの買い越しに転じている点も見逃せません。従来、国債中心の資金運用を行ってきた銀行も、日銀の量的金融緩和などにより魅力的な利回りの国債が流通しづらい状況が続いているため、J-REITで利回りをカバーする必要があります。銀行の資金調達原価から考えても、原価割れさせないために長期債運用と合わせてJ-REITで運用する必要性がますます高まっています。

また、日銀のJ-REIT買い入れにも留意する必要があります。日銀は昨年10月以降、J-REITを年間900億円ペースで買い入れていますが、これは従来の3倍の規模でJ-REIT市場に与える影響は軽視できません。加えて、J-REIT市場の分配金利回りは、アメリカやオーストラリアなどの海外REITと比較しても優位性が高いことから、外国人投資家の買い意欲を刺激することも十分に考えられます。


向こう6カ月以内に2000ポイント回復へ

このように長期金利の低水準が続くなかで、①J-REIT市場の供給圧力となっていた物件取得力(外部成長)がピークを過ぎたこと、②オフィス賃料の上昇期待の高まり(内部成長)、③キャピタルゲイン・インカムゲインの双方で投資家の買い意欲が強まる公算が大きいことを考え合わせると、東証J-REIT指数は今後3〜6カ月のスパンで2000ポイントを回復することが予想されます。

リスク要因として気掛かりなのは、今年前半に見られたように、ギリシャ危機や中国の景気減速懸念が再燃する危険性が消えていない点ですが、J-REIT市場の環境そのものが急速に悪化するとは考えにくいところです。また、向こう2〜5年の中長期的な視点では、日銀の金融緩和政策の終了に伴う長期金利の上昇も想定されますので注意が必要でしょう。(ZUU online 編集部)

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