長期投資のメリットとは?

一方、長期投資にはどのようなメリットがあるのだろうか。まず、短期売買と比較したメリットの一つとして、前述のように機敏に売り買いできる環境でなくても、利益を追求できる点が挙げられる。働き盛りで多忙な日々を過ごすビジネスパーソンには、長期投資は適したスタイルともいえるだろう。

長期投資は、投資先の絞り込みが重要となる。まず、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標からみて割高な銘柄や、企業統治に根本的に問題があり改善も期待できないような企業の株は投資対象から除外する。

そのうえで、配当利回りや株主優待に魅力のある企業、社会貢献が高く長期間にわたって「応援したい企業」、社会的に倒産されては困る企業、或いはもっと単純に「好きな」企業など様々な基準で絞り込んだうえで投資する。換言すれば投資家の個人的な想い入れが強い企業に投資するのが長期投資の真髄であり、ひとたび投資した企業の株は何年も手放さずに持ち続けるのが基本だ。


長期投資は「プラス・サム」の世界

「ゼロ・サム」の短期売買とは異なり、長期投資は企業の成長の恩恵を幅広く受けられる「プラス・サム」の世界といって良い。短期売買の成功者に比べると決して大きな利益ではないが、それでも配当と株価上昇を合算すると投資資金を2倍、3倍に増やすことも珍しいことではない。

企業も成長し、投資家も成長する。そんな長期投資がもっと広く普及すれば、やがて社会全体の成長をもたらす好循環を生むことにもなるだろう。

もちろん、長期投資でなければ配当の恩恵を受けられないという訳ではない。短期筋のなかにも、企業の配当の権利を得られる直前に株を買い、権利を取得したら売るという「配当狙いの買い」を行う向きも多い。しかし、そうして得た配当は再び短期売買に振り向けられるため、いったん投資に失敗すれば資金を失うリスクを伴う。これに対し、長期投資に徹していれば短期売買ほどのリスクを取ることなく資金を増やすことが可能である。


投資の正解はひとつではない

株式投資をギャンブルの一種と考える人ほど、短期売買が株式投資そのものだと思われがちである。そうした誤解が多くの人に投資を敬遠させる一因となっているとすれば、大変残念なことである。投資家の置かれた環境、運用資金の性質はケースバイケースであり、投資スタイルの正解はひとつではない。

これから投資を始めようとする人のなかには、インターネットで検索して自分なりに研究する方も多いことだろう。ただ、投資活動により大きな利益をあげ、インターネット上で活発に情報を発言している著名な市場参加者は、短期志向の強い投資家が多い。

長期投資家の代表的存在である年金基金や機関投資家は、資金を運用する企業や組織の従業員であり、業務と直接関係のない発言をインターネット上で行うことは少ない。さわかみ投信の澤上篤人会長のように、長期投資の意義について熱心に発言される方もいるが少数派と言えるだろう。このため、投資に参加したことがない一般の人には、長期投資の考え方は根づきにくい側面がある。

短期売買と長期投資のどちらを選択するか。あえて、冒頭で述べたことを繰り返すが、それぞれの長所・短所を踏まえ、自ら判断して行動することが大切である。 (ZUU online 編集部)

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