各国とも銀行はFinTechに苦戦中

日本よりはるかに規制が少ないように見える米国でも、銀行に関する米国政府法規制は重くのしかかっている。特にリーマンショック以降、様々な規制が大幅に強化され銀行を名乗るビジネスはより厳格な資本の定義が求められるようになっており、融資に際しても十分な資金を有していることが義務付けられている。

一方、FinTechはテクノロジードリブンでビッグデータとアルゴリズムを駆使したビジネスが多く、潜在顧客を特定する技術など、既存の銀行がまったく保有できていないテクノロジーを保有している。

さらに店舗を持たず、顧客獲得コストを低く抑えられるため、競争環境が成立しない領域も多くなっているのだ。こうした法規制とテクノロジーが既存の銀行に苦戦を強いることとなっており、買収に力が入る構造ができあがりつつあるというわけだ。

国内では金融庁も法制度の見直しを検討

国内の動きに目を転じると、金融庁が、国際比較した上で過剰な規制を撤廃し、邦銀の国際競争力を高めようとしている。具体的には、銀行グループが電子商取引やITを利用した決済サービスに参入することを可能とするため、必要な法改正を検討する方針を打ち出している。

具体的な内容については議論が続いているが、銀行業本体に対するリスクの遮断措置がとりやすいことに着目し、銀行法上の銀行持株会社の傘下に置くことができる子会社の業務範囲を拡大するという方法を中心に検討されつつある。

国内でも、FinTechスタートアップを買収する金融機関の動きが、法改正で加速することが期待される。日本の金融業界も、いよいよITを駆使した競争時代に突入しそうな状況になってきている。(ZUU online 編集部)