故・江副浩正氏の言葉に見る昔からあるリクルートの強さ

もともと若手社員でも裁量が与えられる環境は、どのようにして生まれたのだろうか。リクルート創業者の故・江副浩正氏はインタビューで、「高い業績を上げた人をどんどん組織のピラミッドの上に上げていく。人望があるより、業績を上げた人が昇進していく」と説明。そのうえで、「一種、公平じゃないですか。恣意的な判断が入らない」などと語っている。

またある講演会では社内報について「経営批判もどんどんやるんですね。悪い情報もどんどん載せるということが、御用社内報ではないことにつながる」などと話している。こうした自社批判までもできる仕組みがあることがリクルートの強みなのかもしれない。


ダイバーシティに取り組み 執行役員クラスに女性を登用しているが……

リクルートをさらに働きやすい職場にしたのは、2006年から始めたダイバーシティへの取り組みだ。ダイバーシティは多様性のことで、社員一人ひとりが性別などの違いに関係なく、活躍できる環境づくりを指す言葉だ。

長時間労働の改善から始め、2007年からは事業所内保育園の設置など家庭と職場の「両立支援」をテーマに環境整備を実施。2010年以降は女性を管理職や執行役員クラスに登用する「活躍支援」が重点テーマだ。

2012年のグループ再編後もダイバーシティの流れは各社に引き継がれている。こうして整えられた女性に働きやすい職場環境は、同時に男性にも働きやすい職場になり、リクルートグループを若い社員から広く支持される人気企業に押し上げたといえる。

とはいえ、上場まで果たしたリクルートだが、ホールディングスの役員には一人も女性、外国人取締役がいない。まだまだ改善する余地はありそうだ。