対策②購入する不動産は分けられるように複数とする

富田さんには子どもが2人います。将来の相続でもめることのないよう、2つの賃貸不動産を購入して分けられるように配慮しました。高額の物件を1棟購入するのではなく、市場に流通しやすい価格のものを2棟購入することで売却もしやすくなります。また、単身者用のものであれば需要も多いと言えます。

現金を保有したままでは、相続ではそのままの評価となり、将来、息子2人は多額の相続税を支払わなければいけなくなります。現金で不動産を購入することにより、評価が圧縮され、相続税の基礎控除内の財産額に収まる結果となりました。定期的な家賃収入を得ながら節税対策ができ、遺産分割の対策にもなったことで富田さんの不安は解消できたのです。

財産は現金で持っておくより不動産で持っておくほうがお得です。(詳しくは前回の記事「相続のプロはなぜ不動産購入を勧めるのか? /archives/87271 」参照)。多額の現金を受け継いだときこそ、将来の対策を早めにしておくことは大切だと言えるでしょう。

【富田さんの相続対策】
★賃貸不動産に組み換えによる評価減
収益不動産2棟購入 ▲5000万円
購入マンションの評価額    1500万円(購入金額の30%で評価)
【合計】3500万円の評価減

★純資産価格
対策前 1億3600万円
対策後 1億  100万円

★節税額
対策前の相続税額 1480万円
対策後の相続税額       785万円
【合計】695万円の節税

曽根 恵子(そね・けいこ)
「相続コーディネート実務士」の創始者として1万3000件の相続相談に対処。株式会社夢相続の代表取締役として、感情面に配慮した“オーダーメード相続”を提案。相続プランによって「家族の絆が深まる相続の実現」をサポートしている。相続コーディネート協会代表理事。公認不動産コンサルティングマスター相続対策専門士。不動産有効活用専門士。(ZUU online 編集部)

【知って得する! 不動産を活かした生前の相続対策】
①現金贈与は損?「不動産」が節税のカギになる理由
②自宅を妻に贈与で節税「配偶者の特例」の威力
③相続のプロはなぜ不動産購入を勧めるのか?

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