FinTech(フィンテック)の波に乗り遅れないようにと、世界中の大都市がこぞって様々な取り組みを見せている。中でも英国ロンドンと米国ニューヨークが突出した発展を見せ、「FinTechのロールモデル」としての地位を確立した一方で、同じ経済都市でもトロントのように伸び悩んでいる例もある。


苦戦するカナダ 金融機関とスタートアップの関係改善が必須

国際的に高水準な都市として有名なカナダの経済都市トロント。ビジネスやテクノロジーを含む様々な分野で栄えており、世界屈指の金融都市と謳われているにも関わらず、FinTechの発展では思いがけず苦戦している。

トロント大学 のムンク国際研究スクールのレポートによると、カナダの銀行とスタートアップ間の大きな壁が、FinTechの成長を阻んでいるようだ。ロンドンやニューヨークの銀行がスタートアップと積極的に提供しあっているのに対し、カナダの銀行は新参者と同じラインに立つ準備が整っておらず、スタートアップの対応は全て幹部以下の社員に一任されている。

こうした格差はスタートアップに反発心を生じさせ、”協力”しあうべきところが”競争”に発展しかねない現状である。しかし金融機関とスタートアップの二人三脚はFinTechを発展させるうえで必要不可欠だ。特に規制の厳しいカナダでは、クラウド・ソーシングやローンでさえ銀行の協力なしには着手できないという事実を踏まえると、「良質な関係を築く」という根本的な問題から取り組む必要がありそうだ。


国をあげてFinTechの促進に熱心なオーストラリア

一方「アジア・パシフィックのFinTechリーダー」を目指してさらなる発展を望むオーストラリアでは、スタートアップに対する税額控除項目や利権などに関する重要な政策の見直しと規制の明確化を、FinTechコミュニティーが政府に要請。

連携プレーが英国、米国、シンガポールにおけるFinTechの発展に大きく貢献した事実を例に挙げ、政府の協力をイノベーション・アジェンダの最重要事項として打ち出している。

8月にシドニーに設立されたオーストラリアで2つ目のFinTechハブ、ストーン・アンド・チョークや豪大手銀行ウェストパック銀行など、32のスタートアップ、インキュベーター、投資家から成るこのコミュニティーは、オーストラリアにおける窓口の役目を果たす「FinTech協会」の組織化を目指している。

またスタートアップ業界の実情を分析するための調査も行われるなど、オーストラリア全土を通して「金融革命」の風を吹かせようと盛り上がりを見せている。

こうした両国の取り組み姿勢の差が、今後どのような影響をFinTechの発展にもたらすのか、結果が実となる日が楽しみだ。 (ZUU online 編集部)

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