3.副業収入の形態が「給与所得」でなくても、別ルートでバレる可能性も?

先に、「給与所得だと年末調整の仕組みのためにバレる可能性は高い」と述べたが、マイナンバー制度が開始されると、副業収入が配当やFX、不動産所得であっても今後はバレる可能性が出てくる。

なぜなら、2018年以降、金融機関の口座とマイナンバー制度の紐づけが予定されているためだ。預金の動きが妙に不自然ならば、まず税務署は黙っていないだろう。マイナンバー制度が浸透すれば、税務署と市区町村の横の連携も今よりもずっとスムーズになるため、市区町村も住民税のとりっぱぐれを探るようになるかもしれない。

もしそこで年間所得額や本来の所得税額や住民税額が計算された場合、個人ではなく、本業の勤務先に連絡が行くだろう。ここでバレてしまう可能性は十分にある。

4.完全に税務でカバーできたとしても、今後は別ルートでバレる可能性も

さらに、仮に税務署や市区町村というルートでバレなかったとしても、別のルートでバレる可能性がある。それは社会保険だ。基本的に、『週30時間以上』、『一般社員の労働時間の3/4以上』という社会保険の加入条件を満たすような時間労働でなければ副業先で社会保険に加入する必要はない。

ただし、労働保険(労災・雇用)は別である。これは、労働時間や労働形態に一切関係なく、雇っている労働者すべてに対して雇い主側が加入を強制されている保険である。

マイナンバー制度とも紐づけされているので、この先、会社側が社員の個人情報をマイナンバー制度から容易に調べられるような法改正が行われた場合、あるいは情報漏えいがあった場合、会社が社員の副業をそこから知ってしまう可能性も否定できないのだ。

原則として、マイナンバー制度の当面の利用は行政機関に限られているため、しばらくは、「副業がバレるルートは6月の住民税の特別徴収の通知書から」という従来の流れは変わらないだろう。ただし、これも2~3年かもしれない。

マイナンバー制度が本格化し、行政機関だけでなく、一般の民間企業にも活用が浸透し、津々浦々で個人情報が飛び交うようになったならば、従来とは違ったパターンで副業が本業先に知られてしまう可能性も出てくるだろう。

鈴木 まゆ子
税理士 鈴木まゆ子事務所代表
2000年、中央大学法学部法律学科卒業。ドン・キホーテ勤務中に会計に興味を持ち会計事務所に転職する。妊娠・出産・育児をしながら税理士試験の受験勉強を続け09年に合格。12年に税理士登録。現在、外国人のビザ業務を行う行政書士の夫とともに外国人の決算・申告・コンサルティングに従事。14年から国際相続などを中心に解説記事作成業務を行っている。