アパート経営

(写真=Thinkstock/Getty Images)

土地を所有している場合、アパート経営をして相続税対策をするという選択肢があります。うまく活用することができた場合はかなりの節税になりますが、うまくいくかどうかを考えなかったために実質的には節税にならない可能性もあります。遊休地を活用するなら、どのような点に注意してアパート経営をするべきかをお教えします。

アパート経営による減税効果を比較

まず、アパート経営をした場合、どのくらい減税効果が期待できるのかを比較してみましょう。比べるのは、次の3パターンです。

①相続税評価額1億円(25万円×400㎡)を土地で持っている
②1億円借り入れ、その土地にアパートを建築する
③土地と現金1億円を持っており、自己資金1億円でアパートを建築する
※借地権割合を60%、借家権割合を30%、全室賃貸用とします。
※建物の相続税評価額を、建築費の60%とします。

画像1 このように、遊休地をそのまま土地にしておくのとアパート経営をした場合とでは、課税される元となる相続財産の額に大きな違いがあることがわかります。

更地は所有者が自由に使うことができる一方で、賃貸用にしていると好きな時に使い方を変えることができなくなります。だから、そのデメリット分だけ相続財産としての評価を引き下げており、「アパート経営が相続税対策に有効だ」と言われているのです。

また、減税効果があるだけではなく、資産を増やしていくこともできるのが特徴です。家賃収入から経費や所得税を差し引いた金額だけ、財産が増えていくことになります。これを青色事業専従者給与として家族に支払ったり贈与するなどすれば、生前に資産を移転していくことも可能です。

相続税以外でのリスクがつきまとう

上記のように、相続財産の評価額を大きく軽減させることができる遊休地でのアパート経営ですが、「相続税以外」のリスクが生じることを忘れてはいけません。

いちばんのリスクが「空室リスク」です。アパート経営は、アパートの建築費用と維持費を入居者からの家賃で回収するビジネスであるため、空室が多いと赤字になってしまう可能性があります。家賃10万円の部屋が1年空室になるだけで、収入が120万円減少してしまいます。そのため、相続税額を1,000万円単位で引き下げることができたとしても、アパート経営でそれだけの損失が出てしまうと、何の相続税対策もできていないのと同じことになってしまいます。

そのようなことになってしまわないためにも、遊休地をアパート経営で活用するメリットがあるかどうかを慎重に検討する必要があります。駅からの距離や近隣の賃貸住宅の状況などから、どれくらい空室が出そうなのかを考えましょう。

損失が出る可能性がありそうならば、他の方法を考える方がいいでしょう。会社への賃貸や、土地を売却した資金で好立地の投資物件を購入するといった方法も検討する余地があります。

この空室リスクを抑える方法として、現在、不動産の管理会社が力を入れているのが「サブリース」です。

サブリースは、管理会社が建物を一括で借り上げて、一棟分の家賃をオーナーに支払うという仕組みです。サブリースにしておくことで、空室が出た場合でも「管理会社と契約した家賃が保証される」ため、安定した家賃収入が見込めるというものです。

ただ、サブリースにしておけば空室が出ても安心というわけではありません。管理会社もビジネスなので、物件自身に魅力がなく空室が出てしまう場合には、オーナーとの家賃の引き下げ交渉を行ってきます。サブリースは、あくまで「長期間の借り上げ契約」の保証であり、「借り上げるときの家賃」を保証するものではありません。サブリースにしておけば安心というわけではないので注意しましょう。

上記②のケースのように、借り入れを行ってアパートを建築する場合にも、注意点があります。表をみれば一目瞭然ですが、借り入れをしても自己資金でも、減税効果は同じです。しかし、借り入れには当然、金利の支払が発生します。その分だけ、アパート経営の利益が減ることになります。

一般に、投資用物件購入のための借り入れは、金利は変動金利型となります。将来的に金利が上昇するのであれば、先々の返済額が想定以上になる可能性があることも考えておきましょう。

相続に関わるリスクは分割方法

相続が発生した場合にもリスクがあります。それは、分割方法です。

更地であれば、分筆すれば複数の相続人に平等に分けることができます。しかし、アパートを建築してしまうと、簡単に分割することができません。相続税の納付期限までに売却して現金で分割しようとすると、かなりの安値で売却せざるを得ません。

かといって、共有名義にしておくと、家賃収入の分配方法や、修繕・建て替えなどについての方針決定などでトラブルになる可能性もあります。相続人である子供が複数人いるなどの場合は、遊休地でのアパート経営がベストな選択とは言えない場合もあるのです。

遊休地でアパート経営をするのは、相続税の対策になることは事実です。実際、何千万円単位で相続税額が変わるケースもあります。しかし、相続税額以外のリスクがあることも充分に理解しておかなければなりません。

しかもそのリスクは、遊休地の立地や家族構成などで千差万別です。遊休地以外にどのような財産を持っているのか、この家族構成であれば相続トラブルとして何が想定されるか。このような広い視点で、アパート経営をするべきかどうかを検討しましょう。(ZUU online 編集部)

奥田 周年 (おくだ ちかとし) 税理士。
OAG税理士法人 資産税部 部長執筆書籍は、遺産相続と相続税がよくわかる本(日本文芸社:監修)、ずるいぞ!その相続(かんき出版:編著)、Q&A相続実務全書(ぎょうせい刊: 共著)等多数。相続税・贈与税の専門税理士でチーム相続を組織し、 メディア を主宰。

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