(写真=PIXTA)

世界のブランドショップ街の小売店舗賃貸料動向に関する調査レポート「世界のメインストリート2015」が発表され、世界の店舗賃料ランキングの項目では東京は7位であることが分かった。

1位のNY五番街は他を引き離すほどの賃料の高さを誇る。2位の香港コーズウェイ・ベイ、3位フランスのシャンゼリゼ通りと続く。香港以外でトップ10入りしているアジア圏の都市は、7位の銀座(日本)、8位のソウル(韓国)。

4位までは昨年から変動がなく、トップ30自体も大きく動いていない。最も大幅な変動が見られるのは44位から35位にランクアップしたタイのバンコク、37位から45位にランクダウンしたコロンビアのボゴタあたりだろう。

全体の傾向としては、米国は景気の上昇を反映して、高級ブランドも含めた全体的なリテール市場の拡大が期待されている。欧州の経済は不安定要素を含んでおり、空き店舗にも不足している都市が多いにも関わらず、一方、消費は今後も伸びると思われる。最もリテールが伸びると予想されるのはアジア太平洋地域で、今後5年間に8.5%の成長が見込まれている。

まずはランキング上位20位まで見てみよう。


ランキングトップ20 1位はやはりニューヨーク五番街

1位 ニューヨーク五番街(ニューヨーク)
2位 コーズウェイベイ(香港)
3位 シャンゼリゼ通り(パリ)
4位 ニューボンドストリート(ロンドン)
5位 モンテ・ナポレオーネ通り (ミラノ)
6位 バーンホーフ通り(チューリッヒ)
7位 銀座(東京)
8位 明洞(ソウル)
9位 コールマルクト(ウィーン)
10位 カウフィンガー通り/Neuhauser (ミュンヘン)

11位 南京西路(上海)
12位 ストレシュニコフ通り(モスクワ)
13位 オーチャード・ロード(シンガポール)
14位 プルタル・デ・ランジェル通り(バルセロナ)
15位 バーク・ストリート(メルボルン)
16位 グラフトン・ストリート(ダブリン)
17位 Bagdat Caddesi(イスタンブール)
18位 カルフェル通り(アムステルダム)
19位 カール・ヨハン通り(オスロ)
20位 忠考東路(台北)

同レポートによれば、小売店業界にはいくつかのトレンドがある。その中から2つを見ていこう。


盛り上がるオムニチャネル、ビッグデータ

ここ10年で急成長を遂げたeコマースだが、書籍・ミュージック・トラベル・バンキングなど多様な分野に広がりを見せているにも関わらず、小売業としての全体的な売上比率は未だ低い。欧州で最高のオンライン売上げを誇る英国ですら、2014年の時点では12.2%という数字だ。

従って、オンラインではなく実際に存在する「店舗」はいまだ重要な位置付けにある。物理ストアでは消費者が店頭で実際に商品を目で見て手に取って確かめ、パーソナルかつプロフェッショナルな接客を受けることが可能であり、こうした楽しみを体験できる点で物理ストアは圧倒的に有利である。

テクノロジーの進化にともない、新たな機会が生まれている。最も分かりやすい例としては、消費者のパターンや習慣の分析し、ストアの所在地から商品範囲、マーケット戦略まで全てを知ることができるビックデータが人気だ。

マッキンゼ-&カンパニーの調査によると、ビックデータと分析学を利用している企業は、そうでない企業と比べて5~6%も生産性と収益性を効率良く伸ばしているという。Amazonの配達ドローンのように、過激ともいえるテクノロジーに走る企業もある。しかしそうしたコンセプトも含めて、将来的な消費傾向の形づけに一役買うことが予測される。


気候変動への認識と企業責任

政府が規制強化に乗り出し、環境を配慮して商品を購入する消費者が増加したことで、近年サステナビリティーに対する企業の懸念が高まっている。原材料の仕入先から製造、梱包、流通に至るまで細心の注意を払うことが、企業の取り組みの重要点になっている。

この特定分野に対する政府の規制と消費者の関心が益々高まりを見せていることから、今後も企業はサステナビリティ、気候変動、環境への配慮へ力を注いでいく傾向が強いと思われる。

最後に中国の小売店舗業界の動向を確認しよう。


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