積立投資

(写真=PIXTA)

今では多くの投資家に浸透した「ドルコスト平均法」。10年前にはこの言葉を知らない人も多かったが、銀行や証券会社の窓口やマネー雑誌ではごく日常的に使われるようになった。そう感じている矢先、今度は「バリュー平均法」という言葉が使われ出した。「バリュー平均法」とは一体どんな投手法なのか。そして「ドルコスト平均法」とは何が違うのだろう。

「ドルコスト平均法」とは

まずは「ドルコスト平均法」について復習しておこう。「ドルコスト平均法」が注目されるようになった背景には銀行や証券会社が中長期的な資産形成を行う手段として、この投資方法をPRし始めたのがきっかけだ。投資と言えば、数百万円、数千万円のまとまった資金で株や投資信託を購入するものというイメージだった。つまり、投資を行うにはある程度のまとまった資金が必要だと考える人が大半だった。

「ドルコスト平均法」では定期的に定額を購入し続ける投資だ。例えば毎月1万円ずつ投資信託を定期的に購入し続ける。期間中の平均価格が100円の投資商品に毎月1万円投資するのと、毎回100単位投資をするのとでは、前者(毎月1万円を投資する)方が平均取得価格が下がるというメリットがある。毎回定額を投資することで安いときは沢山買うことができ、高いときは少ししか買わないので、結果的に平均取得価格は下がるという理屈だ。

では、「ドルコスト平均法」は万能かというと、実は欠点もある。相場環境によっては期待通りの効果を発揮できないこともある。例えば、相場の上昇局面では最初にまとめて買った方が利益は多くなる。逆に相場の下落局面では、そもそも投資を行うことを控えるべきなのだ。こうしたデメリットを理解しつつも単純に定額の投資商品を購入し続けるのが「ドルコスト平均法」なのだ。これらメリット・デメリットを考え合わせると、「ドルコスト平均法」の本質的な価値は、投資家の欲や恐怖心を克服できることなのかも知れない。

「バリュー平均法」とは

では、いよいよ「バリュー平均法」について説明しよう。これは米ハーバード大の元教授、マイケル・エデルソン博士が発表した方法で、「安いときは沢山買い、高いときは少しだけ買う」というドルコスト平均法の戦略をより発展させたものだ。

最初に運用の目標額を設定する。定期的に過不足を計算し、足りなければ不足分を購入し、目標を超えているときには売却するというものだ。例えば「1月から投資信託を毎月末に1万円ずつ購入し25年後に300万円にする」といった具合に運用目標額を決める。毎月末に保有資産を時価で計算し、足りなければ追加購入し、上回っていれば売却する。

運用をスタートする1月の価格が1000円なら、1万円分の10単位を買う。1カ月後の2月末に保有資産額を計算する。価格が800円に下がっていれば資産額は8000円。2月末の目標は2万円なので1万2000円の追加購入を行う。価格は800円なので15単位買い、2月末には25単位保有していることになる。

「バリュー平均法」では投資額は2万2000円、25単位を取得することとなる。もし、「ドルコスト平均法」で毎月1万円の投資を行っていたなら、投資額は2万円、22.5単位保有していることになる。

逆に価格が上昇すればどうなるか。3月末の価格が1250円に上昇すれば、保有資産額は3万1250円。目標の3万円を上回っている1250円分を売却することになる。「ドルコスト平均法」では単純に8単位を購入するだけだ。

「ドルコスト平均法」「バリュー平均法」を比較

このように、「ドルコスト平均法」は定期的に一定額を購入する投資手法であり、毎月の投資額が一定で資金計画を立てやすいというメリットがある。反面、値動き次第では将来の資産額が大きく変動する可能性があるというデメリットもある。

それに対し「バリュー平均法」は運用の目標額を設定し、過不足を定期的に計算することで、足りなければ不足分を購入、目標を超えているときは売却を行うという投資手法だ。その結果、購入単価が下がる傾向があり、目標額を実現しやすくなる。その反面、相場が大きく下落するようなタイミングでは資金負担が一時的に増えることとなる。

新しい積立投資「バリュー平均法」は根付くのか

実は「バリュー平均法」の最大の欠点は面倒なことだ。毎月定期的に資産を時価で計算し、購入額を決定する。これを長期間継続して行うことは上述したメリットやデメリットを超越して面倒だ。「面倒だから今月はやめておこう」となれば、そもそも「バリュー平均法」の意味が無くなってしまうのだ。10年、20年という長期間にわたりこの作業を継続し続ける自信はあるだろうか。

「ドルコスト平均法」がここまで普及した背景には銀行や証券会社の営業戦略が大きく関係していることを忘れてはならない。彼らにとってはどんな相場環境であっても毎月定期的に投資信託や株を購入してくれる顧客がいるのはありがたいことだ。しかも、手間いらずで顧客口座から自動的に資金が振り替えられ投資商品を買い付けるので何の手間も必要ない。対面販売のように手間やコストがかからず、毎月定期的に商品が売れれば、これほどうまい話は無い。1件あたりの額は小さくとも、それがまとまれば大きな資金となる。運用会社にとってもいきなり巨額の資金が流入したり流出しては運用しにくい。こうした販売サイドの事情があって「ドルコスト平均法」は市民権を得た。

「バリュー平均法」が今後普及するかどうかは、販売サイドの環境整備にかかっている。最大の欠点である「面倒」な仕組みを自動的に行ってくれるサービスが普及するかどうかが鍵を握っているのではないだろうか。(ZUU online 編集部)

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