米利上げペース

(写真=Getty Images)

米連邦準備理事会(FRB)は12月16日、約10年ぶりとなる利上げに踏み切った。ここ数年、米利上げ開始時期は金融市場の中心的なテーマであったが、今回の利上げ決定を受けて、今後の焦点は「利上げのペース」に移ったといえる。

今後の利上げペースは年2回がメインシナリオ、最大でも4回が目安

FRBは年8回開催される定例の米連邦公開市場委員会(FOMC)のうち、3月、6月、9月、12月の4回の会合においてFOMC参加メンバーの経済見通しを公表しており、この中に今後の金利見通しが含まれている。今回のFOMC後に公表された経済見通しをみると、2015年末の政策金利が0.4%、2016年末は1.4%、2017年末は2.4%となっている。したがって、今後2年間、毎年1.0%ずつ金利が引き上げられ、1回の上げ幅を0.25%とすると、それぞれ4回ずつとなる計算だ。

見通しには参加メンバー全員のレンジや上下3つの値を除いた中心レンジも公開されている。2016年末の中心レンジは0.9-1.4%となっており、このレンジにしたがうと、向こう1年間での利上げ幅は0.5-1.0%、回数にすると2回から4回ということになる。

もうひとつ、市場参加者が「利上げペース」を占う上で注目しているのが、フェデラルファンド(FF)金利先物だ。12月18日現在の2016年12月限をみると、0.8%となっており、マーケットは2016年末までにおおむね2回の利上げを織り込んでいることを示唆している。

以上を踏まえると、今後1年の「利上げペース」は0.25%を2回というのが現時点で最も有力であり、多くても4回までとみてよさそうだ。ただし、FOMC参加メンバーによる見通しやFF金利先物を利用した予想は既定路線というわけではなく、今後大きく変わることもある。参考値としては有用であるが、変わるということを念頭に置いてチェックを怠らないことが肝要だ。

米景気後退なら一転して「利下げ」の可能性も

米国経済は堅調を維持しているものの、世界経済全体では景気は減速しおり、金融は緩和傾向にある。成長率の鈍化に歯止めがかからない中国では、10月に過去1年以内で6回目となる利下げを実施。また、欧州中央銀行(ECB)も12月3日に追加緩和を実施したほか、日銀も12月18日に現行の量的・質的緩和策(QQE)の補完措置を発表した。

世界的に景気が減速しているなかで、米国のみが堅調を維持できるかどうかは不透明といえる。さらに、米利上げをきっかけとして、新興国への投資資金が米国へと還流し、新興国経済への打撃となることも懸念されている。

米国自身の景気見通しも盤石とはいいがたい。経済協力開発機構(OECD)によると、米景気先行指数は10月まで12カ月連続で低下しており、今後の米景気の減速を示唆している。また、フルタイムの就業者数が伸び悩む一方で、雇用の増加はパートタイムが中心となりつつあり、米雇用情勢にもかげりが見え始めている。加えて、原油相場の下落やドル高を受けて、米企業の収益が低下しており、7-9月期の企業収益は前年同期比でマイナスに沈んだ。企業業績が悪化しているなかで賃金がやや強含みとなっており、企業は雇用の拡大に慎重になる可能性がある。

米国は国内外ともに向かい風が強まる見通しで、景気減速となれば利上げ観測は一気に後退することになる。さらに、景気の後退懸念が強まった場合には、「利下げ」という選択肢も視野に入ってこよう。

利上げ開始後、3カ月程度は投資スタンスを慎重に

過去の米金融政策を振り返ると、1994年2月4日、1999年6月30日、2004年6月30日が直近3回の利上げサイクルの開始日となる。利上げスピード・上げ幅をみると、1994年のサイクルでは、3カ月連続で0.25%引き上げた後、開始から3カ月後の5月に0.5%、6カ月後の8月に0.5%、9カ月後の11月に0.75%引き上げている。小幅な引き上げを連続的に実施した後、やや時間を空けつつ上げ幅を拡大した。

1999年のサイクルでは開始から2カ月後と5カ月後にそれぞれ0.25%ずつ引き上げ、8カ月後の3回目と9カ月後の4回目にも0.25%ずつ引き上げた後、11カ月後には0.5%引き上げた。かなり緩やかに始まったものの、最終的には利上げスピード・上げ幅ともに加速する格好となった。2004年のサイクルでは、年8回の会合ごとに0.25%利上げを2年間継続し、小幅な利上げを機械的に実施している。

利上げ開始後の株価の動きをみると、過去3回の利上げサイクルに共通している点として、開始後3カ月から4カ月の間は軟調に推移した点が挙げられる。この間については、連続的に引き上げても、ゆっくりと引き上げても大きな差はみられていない。5カ月目以降をみると、1994年は株価が伸び悩みとなり、1999年は回復後にやや乱高下、2004年は回復後に比較的落ち着いた動きとなった。

経験則を踏まえて投資戦略を考えると、底入れが期待される3カ月程度の間は投資スタンスに慎重さが求められよう。また、利上げスピードの加速や上げ幅の拡大がみられた場合には、波乱含みとなる公算が大きく注意が必要だ。一方、過去3回のケースでは、いずれも1年後には利上げ開始前の水準を回復していることから、長期的なスタンスであれば、押し目は買い場と解釈することもできるのではないだろうか。 (ZUU online 編集部)

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