(写真=Thinkstock/Getty Images)
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昨今、ESG投資への注目が高まっている。ここ数年間で広まってきたESGとは、「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(企業統治)」の頭文字で、各側面から投資対象として評価する動きを指しており、社会的関心も高まっている。

「環境」としては具体的に、エネルギー使用量や二酸化炭素(CO2)排出量削減などへの配慮であり、「社会」としては女性、障害者、外国人など多様な人材の活用やワークライフバランスの推進などへの配慮が含まれるカタチだ。

さらに、「企業統治」としては、資本効率などビジネス面はさることながら、情報開示体制の整備や不正対策が主な論点となる。オリンパス <7733> や東芝 <6502> などでも問題視されてきた不正な会計処理への防止策がとられているかなども含まれ、企業価値を守って行く上では、こちらも無視できない。これら3要素から企業を分析し優れた企業へ資金を投下することがESG投資だ。

ESG投資のカギは具体的な着眼点の見極め

ESG投資は基本的な考え方は、3つの要素に優れた会社を選べば株価上昇や配当増などでも良好なリターンを得られるということだ。現在までの実績や経営方針に加えて、将来的な価値も加味して投資対象を選定しようとする動きだ。

ESG投資の考え方の根底にあるのは、特に、将来の企業価値を予測する上で過去の情報に基づく分析だけでは不十分なため、財務データ以外の要素からも企業価値を評価することが中長期的なリターンを高める上でより適切であるという論理だ。基本的には、社会的責任投資(SRI: Social Responsible Investment)とおおむね同じだが、SRIには儲からなくても社会的意義に鑑み投資するという側面もあるのに対して、ESGは利益を確保する上で不可欠な要素という意識がより強い。

確かに、長期的にみればESGを軽視した企業の成長は期待できない。「環境」を疎かにすれば自動車の排ガス規制の未達などビジネスを継続する上で致命的な欠陥を抱えることになりかねないし、「社会」は短期的にみれば風評や評判の問題に過ぎないかもしれない。また、社会情勢に適応した人材活用や制度導入は企業が長期的な発展を遂げる上で必要不可欠な要素だともいえる。

「企業統治」に至っては問題を先送りすれば、オリンパスや東芝の例でもすでに広く知られている通り、企業の存続に影響する致命傷を負いかねない。こうした問題意識を持って投資銘柄の選定を行えば、大幅な株価下落リスクをある程度回避できるとの見通しも立つ。

運用の手足をしばる可能性とリスク回避

他方で、ESG投資に対し批判的な意見もある。山崎元氏(楽天証券経済研究所客員研究員)は自身の記事の中で排ガス規制問題を抱えるフォルクスワーゲン(VW)を例に挙げ、「ESG投資の運用ルールとしては、仮にVWの株価が不祥事の影響を十分織り込んだ水準のはるか下にまで下落したとしても、同社の株式を買う事ができない。運用のあり方として、これはかなり不自由・不都合な制約だ。」と述べている。

つまり、ESG投資は中長期的なリターンの向上を図る上で適切な手法と断言できるわけでもなければESGは「検討材料の1つ」と位置付け、山崎氏が指摘するような「明らかな割安銘柄」を買入対象に組み入れていくという投資戦略もあるだろう。

何れにせよESG投資を検討する際には、リターンの計測期間、ESGの定義、ESGの評価基準を明確にすることが重要だ。2015年3月に公表された東証のなでしこ銘柄の中には東芝も含まれており、「企業統治」をもっと重視した選考基準であれば違った結果になったかもしれない。

そうした点を踏まえれば、企業統治の項目を重視することで、不正会計などのスキャンダルが明るみに出て、投資先の企業価値が大きく損なわれるという事態を避けるためには、ESG投資の考え方も役に立ちそうだ。(ZUU online 編集部)

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