株式投資
(写真=Thinkstock/Getty Images)

先週18日に日銀が発表した「金融緩和の補完措置の導入」は、「情報はよく確認しよう」としか説明のしようがない事例だった。市場が反応したのは、ETF(上場投資信託)の買い入れ枠を新たに年間3000億円設けるとの発表に対してだった。日経平均株価の前場終値は1万9300円付近で推移していたが、金融政策決定会合の結果についてニュースが流れると、待ちわびていた市場関係者が「日銀が動いた」と反応。午後1時前には1万9869円08銭まで急上昇した。

しかし、実は一方で保有株の売却を3000億円規模で再開する方針であることが伝わると、熱狂がさめて売りが殺到した。大引けでは18986円80銭となり、高値から882円も下落した。株式市場の参加者にとっては、日銀から肩すかしを食らった格好だった。長期投資家にとっては対岸の火事でしかないが、短期のデイトレーダーには肝を冷やした人も少なくなかっただろう。市場参加者が「早耳」の質を問われた展開だったといえる。今回は相場格言「早耳の耳だおれ」をピックアップしよう。

情報を握っていても投資で成功するとは限らない

「早耳の耳だおれ」とは、情報を多く握っているからといって投資で成功するとは限らないという意味の相場格言だ。儲かりそうな話であっても、相場が反応しないこともある。「あなたにだけこっそり情報をお話します」といった誘いは受けるべきではないし、そんな情報を見たり聞いた場合は疑ってかかるくらいの慎重さが求められる。

上場会社に関する新しい情報は日々公表されるし、報道される。インターネット証券が運営するサイトのニュース欄には、株価に反映しそうな情報が溢れている。しかし、実際には株式市場では「消化されることのない」ニュースの方が多いのが実情だ。

投資家は日頃の投資活動を通じ、敏感に反応すべきニュースが何であるかというアンテナの感度を高める努力が必要である。

相場は実際にふたを開けてみないと分からない

相場が反応するニュースと反応しないニュースの違いは何か、明確な説明は難しい。投資家なら誰でも「こんなニュースで株式市場がよく反応したものだ」といえるケースに遭遇したことはあるだろう。何事も期待通りに動くとは限らないのが相場の世界である。

具体的に株価が動きやすい情報の事例としては、TOB(株式公開買い付け)、政府の補正予算編成、予期しない理由による企業の業績予想修正などが挙げられる。とはいえ、TOBでは買い付け価格が当日の終値を下回るようなディスカウント価格が設定されることもある。

企業が業績予想を上方修正しても「アナリスト予想のコンセンサスに届かない」という(企業にとっては理不尽きわまる)理由により、売り材料となる場合もある。株価がどう動くかは、実際にふたを開けてみないと分からない。

悪材料続出も底堅かった日本マクドナルドHD

「早耳の耳だおれ」という言葉を聞いて、日本マクドナルドHD <2702> を想起する人もいるかもしれない。2014年夏の期限切れ肉使用問題や今年の異物混入問題で、日本マクドナルドHDの食の安全に関する信頼は地に墜ちた。

ファミリー層が多い郊外店などでは顧客離れが進み、既存店の前年同月比売上高はマイナスが続いた。効率化のため客数が多かった店舗でも閉鎖する動きがみられ、存続店でも加盟店オーナーは経営に苦しむ日々を過ごす。

しかし、日本マクドナルドHDの株価は、不祥事が発覚する前の2014年6月につけていた2900円台半ばから、今年1月にかけて2400円台半ばまで2割弱値下がりしたものの、以後は底堅く推移した。今月12月8日には年初来高値である3070円まで上昇。株価だけみれば、不祥事は乗り越えているように見受けられる。

情報の大きさと企業経営は必ずしもリンクしない

日本マクドナルドHDの株価を支える理由として、よく話に出るのが株主優待制度だ。同社の優待食事券はバーガー類、サイドメニュー、ドリンクの商品引換券が6枚ずつ付いている。株主には6月と12月の2回、この優待食事券が配られる。保有株数が100~299株なら1冊、300~499株なら3冊、500株以上なら5冊ついてくる。マクドナルドで日ごろ食事をする生活スタイルの人であれば、魅力的な優待内容であるとの印象を抱くだろう。

また、日本マクドナルドHDは前期より借入金が増えているとはいえ、財務状態はまだ余裕がある。今年12月期の配当予想は未定だが、前年12月期は1株につき30円の期末配当を出している。不祥事で客離れが進んでも、加盟店はともかく、本部がすぐに経営ができなくなるほど深刻な影響が出ているわけではない。時間をかけて顧客の信頼を回復すれば問題ないとの見方もある。

今年初頭には、異物混入に関して真偽を疑いたくなるようなニュースが溢れた。飲食業であればよくあるトラブル話でも、有名なマクドナルドだからとクローズアップされて報じられた。こうした話は日本マクドナルドHD株の売り材料ではあったが、前述の通り、株価の下げ幅は限定的だった。2015年の同社株の値動きは、情報の大きさと、企業の経営面に与える影響は必ずしもリンクしておらず、切り離して考えるべきだということを教えている。(ZUU online 編集部)

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