(写真=PIXTA)
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2015年1月から施行された相続税改正で、相続税に関する関心が高まった。相続税のセミナーも各地で多数行われているようだが、相続をするとき、実は税金以外にもかかるお金があることをご存知だろうか。数百円の書類の取得にかかる手数料から相続手続きをプロに頼む時の料金など、早めに準備しておきたい相続にまつわるお金の話を解説しよう。

相続時の必要書類と手数料

まず、相続が発生したら手続きに入るわけだが、相続手続きで思いつくのが「遺産分割協議書」の作成だ。遺産分割協議作成には多数の書類が必要となる。自分で取得できる人もいるだろうが、普段聞きなれない書類の多さに専門家に任せることも多い。書類発行の手数料は各自治体や請求方法によって異なるのでおおよその参考だが、以下のようになる。

【被相続人(亡くなった方)】
被相続人の出生から死亡まで全ての除籍謄本…750円
被相続人の死亡の記載のある住民票の除票…200円
被相続人の所有する不動産固定資産税評価証明書…200円
不動産の登記事項証明書…600円
金融機関での残高証明書…756円

【相続人】
相続人全員の現在の戸籍謄本…450円
相続人全員の住民票…200円
相続人全員の印鑑証明…200円

書類は自分で取得することもできるが、書類の取得から遺産分割協議書までワンストップサービスで行っているところもある。司法書士に手続きを依頼した場合の料金は個別に異なるが、一般的には5万円〜10万円くらいが多いようだ。

亡くなった人の「準確定申告」も

通常確定申告は1月1日から12月31日までの収入に対して行うが、年の途中で死亡した場合は、死亡日までの収入に対して死亡日から4ヶ月以内に「準確定申告」を行う必要があるのだ。生きていれば本来払うべきだった所得税である。法定相続人に当たる人が複数人いる場合は、その全員が連名で被相続人の所轄の税務署に本人に代わって手続きをする。財産を受け取ったことによる相続税ではないので注意が必要だ。もちろん支払った所得税は、相続財産の中から債務として控除できる。手続きの期間が4ヶ月と短いために、相続財産が不動産などの流動性の低いものが多い場合は別途現金を用意しておくことが必要だ。

空き家は穴のあいたバケツ?

相続した財産の中に不動産がある場合は、特に注意する必要がある。思い出があるからとか、土地の形状や建築条件などで売却できそうもないからと誰も住む人がいないのにそのまま放っておくと、かなりの維持費がかかることがある。

一番大きな出費は固定資産税だ。空き家も不動産なので当然固定資産税は毎年かかることになる。固定資産税の標準税率は1.4%、つまり固定資産評価額に1.4%かけた金額が固定資産税となる。通常住居用の土地と家屋であれば住宅用地特例で固定資産税の6分の1に優遇する制度がある。しかし2015年5月から施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)」により「特定空き家」と認定されてしまうと、それまでの住宅用特例から外れてしまうので一気に6倍もの固定資産税がかかることになるのだ。また市街化区域の場合は都市計画税も課税される。

売ってもかかる家のお金

納税の資金を確保するために、相続した家を売却する場合にもお金がかかる。例えば、売却する土地の境界線などが不確定な場合、測量して正確な境界線と面積を調べる必要があるのだ。測量するためには「土地家屋調査士」に依頼する必要があるが、料金については面積や立会いが必要かどうかなど、条件が異なるため、決まった金額はない。一般的な都市部の土地であれば30坪で30万円からというところが多いようだ。

また不動産会社を通して売却する場合は、仲介手数料もかかる。金額は仲介業者が決めるのだが、手数料の上限は決まっている。例えば400万円以上の取引物件価格の場合、価格の3%プラス6万円と消費税となる。その他にも、所有権移転などの登記にかかる登記費用や印紙税、売却によって利益が出た場合は譲渡税がかかる場合もある。不動産にかかわる金額は、物件の取引価格によってかわるので、あらかじめどのくらいかかるかを計算しておいたほうがいいだろう。

「争族」になってしまったら

「相続は争族」という言葉をよく聞くが、遺産分割に関して弁護士に依頼することもあるだろう。弁護士に依頼する場合、最初に着手金の支払いと問題が解決したら成功報酬が必要だ。依頼者の経済的利益金額によって違うが、日本弁護士連合会が発表した「2008年アンケート結果にもとづく市民のための弁護士報酬の目安」によると配偶者が5000万円の経済的利益を得る場合、着手金は30万円から50万円の間が72.5%と最も多かった。

また、報酬金については、100万円前後が最も多く30%であった。このことからもわかるように、遺産分割協議を弁護士に依頼する場合は、経済的利益の3%くらいはかかると予想しておいたほうがいいだろう。

相続税の対象にならない人でも、相続によってかかる費用があることを知り早めに準備しておくことが大切だ。

黒須かおり ファイナンシャルプランナー 相続士(日本相続士協会)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてライフプランのコンサルティングを行う。住宅ローンや教育費から、相続や老後のマネー相談まで、幅広い資金計画のアドバイスを手がけている。「いつでも気軽に話を聞いてくれる、身近な存在」として活動。 FPcafé 登録FP

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