(写真=Thinkstock/Getty Images)
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クリスマスに正月に、年末年始は何かと出費が多い。先日、娘からプレゼントについて「ご注文」が来た。なかなかのお値段であったので、このプレゼントをめぐり、娘と次のようなやり取りをした。「お年玉で自分で買うか、プレゼントで買ってもらうか」「そもそも、お年玉の金額による」「来年の誕生日分も消化しようか」。目先のプレゼントで、先々の蓄えを消化するか、はたまた、小出しにするか…。

ふと、このやり取りに似た光景を思い浮かべた。「相続」である。目先の一次相続だけでなく、その二次、三次を織り込みで対策を練るとなると、先の母と娘の様な会話になるのである。

一見、お得な「配偶者の税額軽減制度」

相続には「一次相続」と「二次相続」があり、一次相続とは、両親のうち、どちらか先に死亡したときの相続のこと。二次相続とは、後に残された親が死亡したときの相続のことをいう。

1億6千万円。この数字をみてピンとくる人は、相続経験者もしくは実務者であろう。「配偶者の税額軽減制度」である。被相続人の「配偶者」は、相続した財産のうち、1億6千万円もしくは、法定相続分相当額までは、相続税がかからないのが、現行の税法だ。

仮に相続財産が1億6千万円だった場合、法定相続分で分割すると、配偶者、子ともに8000万円の相続で、配偶者控除を考慮すると、相続税額は配偶者がゼロ、子は約1070万円の相続税がかかる。

この時、子の相続税額1070万円を払わずに済む方法としては、1億6千万円を全て配偶者が相続するという方法。これは現実に可能であるのだ。1070万円の税金がゼロになるのは、一見とても魅力だ。

一時相続で相続税を納めていれば…

だが、この後、配偶者が死亡したらどうなるだろう。

一次相続後、再婚をして新たに配偶者がいない限り、「配偶者の税額軽減制度」は使えない。

10年以内に二次相続が発生した場合、納税の負担が重くなるためそれを考慮し、税金の負担を軽減する「相次相続控除」が使える。そのため、一次相続で相続税を納めていれば、一定の額が控除され、世代間全体で支払う相続税は少なくなる事もある。

しかし先の例では、1億6千万円の相続財産に係る相続税は、全て配偶者控除によって納税額がゼロとなったため、相次相続控除時に除する額もゼロだ。

3260万円の相続税が発生

仮に相続財産をそのまま引き継ぎ、1億6千万円が増減しなかった仮定で、子が二次相続時に課せられる税額を計算してみると、相続税は約3260万円。全額キャッシュで、相続発生から10か月以内に支払うことが、大原則だ。これが、「二次相続」だ。

ゼロと、3260万円。問題は納税額の他に、そのギャップにある。「お父さんが亡くなった時相続税を納めずに済んだから、うちは大丈夫だろう」という、漠然とした考えでいるのが、不用意な現状を生む。

ちなみに、仮に先の一次相続で配偶者と子が、法定相続分通り8000万円ずつ相続し、二次相続で同額を相続した場合、一次相続では子に1070万円、二次相続では同じく680万円の相続税が課せられる。合計しても1750万円だ。加えて相次相続控除が使える10年以内に相続が発生した場合は、さらに少ない。

今回はわかりやすくするために相続人を子一人に絞った仮定としたが、これが複数人の兄弟や、再婚して新たな配偶者がいた場合は、どうだろうか。問題は、税額だけでは済まなくなりそうだ。

上手な節税方法

先の例では、相続財産の内容は単純に預貯金や有価証券など、相続評価額が現状の市場価格とあまり変わらないもののみと仮定して説明したが、そもそも相続税の計算上、相続財産の「価値」そのものを抑えることが、ある程度までは可能だ。

不動産や生命保険の活用が、その代表例だろう。もし現金や有価証券の割合が多いのであれば、だれもが手軽に活用できる生命保険がおススメだ。

少し前までは生命保険の加入といえば「健康状態が優良」な人しか加入ができなかったが、昨今では健康状態を問われない「相続対策向け」の商品が豊富だ。

保険金など受取金額は「みなし相続財産」として相続税の計算上加算されるが、「法定相続人の数×500万円」が非課税額として控除される。節税ばかりが「相続対策」ではないことを念頭に置きながらも、活用できるものはうまく利用したい。

さて、我が家のプレゼント対策は、二次、三次と分割して揃えるという方法でまとまった。支出の先送りとなるか、いずれ飽きて二次、三次が消滅するか、私にコントロールできる権限は無さそうだ…。

佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅱ種、相続診断士
国内外の保険会社で8年以上営業を経験。リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして独立し、販売から相談業務へ移行。10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。 FP Café 登録FP。

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