(写真=PIXTA)
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法務省は11月5日、2015年の司法試験「予備試験」の合格者が394人と発表した。合格者数は過去最多で、予備試験が始まった2011年から4年連続で増えしている。

「予備試験」とは、「法科大学院修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定する」(司法試験法5条)試験で、この試験に合格すれば法科大学院を修了しなくとも司法試験(本試験)の受験資格が得られる。つまり、大学在学中や高卒の人でも予備試験に合格すれば司法試験を受けることができるのだ。

9月に発表された司法試験の合格者数は1850人で、3年ぶりに前年を上回った。司法試験全体の合格者のうち予備試験経由で受かった人は186人で、初めて1割を超えた。さらに全体での合格率は23.1%だったが、予備試験経由で受けた人の合格率は61.8%と高かった。

予備試験が導入された経緯は、経済的理由などにより法科大学院に通えない人に対する救済措置だ。その合格率は非常に低く狭き門だが、予備試験に合格すれば法科大学院に通う必要がないため、司法試験合格への「最短ルート」「抜け道」として見なされる傾向が強い。そのため予備試験不要論など、試験制度のあり方自体に疑問の声も上がっている。

「無職弁護士」が増加している?

近年、弁護士資格保持者の急増により需要と供給が成り立たなくなるという社会問題が起こっている。いわゆる弁護士過剰問題だ。弁護士数の増加によって、超難関の司法試験を突破しても就職先がない「無職弁護士」が増加しているとの声もある。

さまざまな資格や職業についてのコメントが掲載されているランキングサイトで弁護士に関する書き込みがある。サイトに寄せられた現役弁護士によるコメントには、「弁護士過剰で、就職すら苦労する資格になってしまった」「職にあぶれる可能性がある」と書かれている。

詳しく見ると、「昔は難関資格と言われて年収も高かったが、今は昔とまったく違って厳しい状況」「消費者金融の過払い金問題が無かったら、弁護士の仕事から全く離れてサラリーマンをしていた」。また「弁護士の資格を取ったのは7年前で、弁護士過剰が問題になっていた頃。就職活動をしたがどこの弁護士事務所でも働くことができず、弁護士になった初年度の弁護士としての収入はゼロ」と厳しい現状が赤裸々につづられている。

弁護士未登録者数の増加

司法試験に合格したからといって、すぐに弁護士の業務を始められるわけではない。さらに司法修習を受けて試験に合格した者だけが、法曹の仕事に就くことができる。修習を終えた者は弁護士登録をすることになるのだが、この登録者数が減っていることで「無職弁護士」問題はクローズアップされるようになった。

未登録者が増えた理由として考えられるのは、費用の問題だ。弁護士登録をするには入会金や登録料、年会費などまとまった費用を支払う必要がある。しかし弁護士事務所などに就職が決まらなかった場合、収入源がないため登録費用をねん出するのが難しいということで登録しないケースがあるという。

次に考えられるのは、弁護士登録をせずに企業や官公庁などでインハウスローヤー(組織内弁護士、企業内弁護士)として働き始めるというケースだ。各種の権限を行使するには弁護士登録が必要なので登録をしている弁護士が多数であるが、企業側が必要ないと判断した場合には未登録のまま就職する場合もある。こういったケースは年々増加傾向にあるという。

インハウスローヤーという働き方

日本でもこのところインハウスローヤーという働き方が注目されている。企業内弁護士は企業の社員、または役員として法務に従事する。中央官庁や地方自治体の職員として働く弁護士は組織内弁護士または行政庁内弁護士。こちらは弁護士資格を保有したまま公務員となる。このインハウスローヤーの職に就く人の数が年々急増しているのだ。

日本組織内弁護士協会(JILA)が発表している「企業内弁護士数の推移(2001年~2015年)」の統計資料によると、2001年には66人だった企業内弁護士数が、10年には428人、15年には1442人にまで増加している。ここでいう「企業内弁護士」とは、国と地方自治体以外のあらゆる法人に勤務する弁護士のうち、法人の所在地を自身の法律事務所所在地として弁護士登録している人のことだ。

企業内弁護士数の急激な増加は、弁護士過剰問題とは切り離せない事象だ。インハウスローヤーの増加は、あふれた弁護士が救済を求めた結果ともいえるだろう。(ZUU online 編集部)

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