(写真=Thinkstock/Getty Images)
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広島カープの黒田博樹投手が12月17日、広島球団事務所で契約更改交渉を行い、2億増の6億円でサインした(金額は推定)。その時点で黒田選手は、日本球界最高年俸者となった。

日本に帰国する前のシーズンオフ、大リーグの各球団も破格のオファーを出してきた。例えばヤンキースも残留を熱望し、古巣ドジャースは年棒1600万ドル(日本円換算で19億2千万円)、なんとパドレスは1800万ドル(21億6千万円)を提示してきたという。それを断り、広島に復帰してきたのは、もちろんお金だけのことではないのは明らかだ。家族のこと、ファンのこと、そして何より黒田選手自身の思いが、広島移籍につながったのではないだろうか。そして今シーズン、約200イニングを投げ、きっちり実績をあげたことは、驚異の一言である。

さて、黒田選手の年棒は6億円だが、過去の大リーグでの年棒を含め生涯年棒を計算すると、おおよそ100億円前後になるのではないかと推定される。

そこで今回、ZUU online 編集部は、マネーデザイン代表取締役社長の中村伸一氏に、「もし、黒田投手に資産運用を提案するとしたらどのような提案をするか」というテーマでインタビューをした。

富裕層の関心事は「増やす」よりも「減らさない」にある

中村氏:まず、アメリカでの所得税+住民税が単純計算で48%位、日本でのそれが55%位なので、手元に残るのは半分の50億円程度となります。この現実を考えてみると、黒田投手の一番の関心事は、資産運用ではなく、いかに節税に知恵を絞るかという点ではないでしょうか。運用に回せるお金は税引き後の金額なので、その前段階での節税に興味を示すのは、至極当然といえるでしょう。黒田投手に限らず、富裕層の関心事はどのように資産を増やしていくかよりも、資産を減らさない、次の世代に残すことに関心の重きが置かれる傾向があるように感じます。

ーーでは、実際にどのような節税方法が考えられるのでしょうか?

中村氏:その典型的な節税方法は、資産管理会社の設立です。今、日本には、個人増税・法人減税という大きな流れがあります。日本の個人に課税される所得税+住民税の最大税率が55%である一方、2016年からの法人税の実効税率は30%を切る予定なので、その差は歴然です。

さらに、もう一つ気にしたいのが相続税です。黒田投手は一代では到底使いれない資産を築き上げているはずなので、それを家族に残す仕組みを考える必要があります。その点でも資産管理会社は有効に機能するといえるでしょう。まずは、節税スキームを作った後に、いよいよ実際の資産運用がスタートできるのだ。

ーー中村氏が黒田投手にオススメする資産運用とは?

私なら、黒田選手には、できるだけ長く資産を保有することで利益をあげる「中長期投資」中心に考えていくことをお勧めします。理由は景気や為替変動などの影響を受けやすい「短期投資」では、なかなかパフォーマンスをあげることは難しいからです。投資の神様と謳われるウォーレン・バフェット氏のやり方を踏襲したいと思います。

黒田選手が資産運用をする際の最大の利点は、それに回せる金額がけた違いに大きいため、運用商品の選択肢が増えることにあります。投資の格言に「ひとつの籠に卵を盛るな」というものがあります。これは、様々な対象に分散して投資をすることで、リスクも分散することができるという考え方です。富裕層であろうとなかろうと、資産運用の考え方の王道に違いはありません。投資対象、時間、種類についてきちんと分散投資ができているか、これに尽きるのです。

基本は資産四分割で逆相関の関係を組む

ーーどのようにポートフォリオを提案します?

マーケットの変動に対応できるように、資産四分割(預貯金、有価証券、不動産、金)を基本とし、保有資産同士の動きが逆になるように(逆相関)投資対象を選択していきます。

これに、REIT、原油などのコモディティ、現物の不動産投資も考えていきます。加えて、投資コストを考えた上でオルタナティブ(代替)投資のひとつとして、ヘッジファンドも考えるのもありでしょう。

また、国内の株式、債券、不動産だけでなく、国際化する投資商品にも目を向けることが必要である。これらを基本にマーケットの情勢を加味しながら組み入れ比率を変えていくことが賢い選択といえます。

預貯金を組み入れるのは、時間分散の意味もある。一度に有価証券や不動産に投資するのではなく、好機を見ながら投資をしていきます。「休むも相場」という言葉がありますが、預貯金の割合を7-80%にして待機させる時期も当然あるはずです。

商品選びに関しては、購入、維持にかかるコストも考慮する必要がある。例えば、今残高が増えているラップ口座のケースを考えてみましょう。5億円をラップ口座に預けた場合、年率2%、金額にして1000万円が手数料として徴収され、更に同じ口座内で投資した商品の運用管理手数料も1%程度取られるのが一般的です。こういった高コストの商品でなく、ETFなどの低コスト商品を選択することが、投資の入り口でできる最大の防御といえます。金融先進国の米国では、このETFだけでポートフォリオを組む例が数多くみられます。

マネーデザイン 代表取締役社長 中村伸一
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。

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