受渡しベースでの年内最終取引となった12月25日の日経平均株価は1万8769円となり、5日連続の下落で取引を終えた。2015年の東京株式市場は、年後半に中国経済の不安や原油安などの外部要因により乱高下の激しい展開となった。弱気に傾きつつある相場が継続してしまうのか、それとも再び上昇に転じるのか、2016年の相場を占う1月相場に注目が集まっている。

マーケットアノマリー「1月効果」とは?

相場の動向を探るうえで、話題になるのがアノマリーだ。アノマリーとは相場において、はっきりとした理論的な根拠を持つわけではないが、よく当たるかもしれないとされる経験則のことをいう。アノマリーは季節によって様々なものが存在するが、その中のひとつが「1月効果」だ。マーケットでは、1月の相場は上昇しやすいとされている。

理論的な説明に基づくものではないため確かな根拠を示すことは難しいが、その要因とされるのが年末から年初にかけての資金の流れによる相場への影響だ。マーケットでは例年、12月末にかけて含み損を確定させるなどの税金対策としての売りが集中するとされている。

一方で、1月はその売却資金や新規資金が流入しやすく、年末年始の資金の流れが相場上昇につながると言われている。また、1月末からは3月期決算企業の第3四半期決算が順次発表されるため、上方修正など企業業績への期待感から買いが入りやすいといったことも考えられる。

「1月効果」は、2月上旬に高値を付け、その後下落に転じるという「節分天井、彼岸底」という、こちらもよく話題になるアノマリーにつながるのである。その年の相場を占う上で、1月の相場が堅調であればその年の相場も堅調に推移するといったことも言われるほど、1月の相場動向には注目が集まる。

「1月効果」は有効か

では、実際の1月相場はアノマリー通りに動いているのだろうか。直近10年間(2006年~2015年)の1月相場を振り返ってみたい。大納会の終値から1月末終値までの騰落率を見てみると、騰落の回数で言えば6勝4敗と勝ち越しているものの、月間騰落率は平均で-1.58%とマイナスパフォーマンスとなっている。

この間、1月に相場が下落した年はサブプライムローン問題やリーマンショックによる2007年から2009年前半にかけての持続的な株価下落局面や、2014年1月のアルゼンチンペソの急落に端を発した新興国通貨不安などによる影響があった。

2008年、2009年、2014年の1月はいずれも10%前後の下落となっており、これがパフォーマンス悪化の要因となっている。株価が堅調に推移した年が多かったものの、相場環境によっては相場が大きく弱気に傾き、波乱となることも多かったと言える。更に遡れば「1月効果」は有効と言えるのかもしれないが、直近10年に限って言えば、必ずしもアノマリー通りに相場が動いたとは言えないことが分かる。

アノマリーはあくまで根拠のない経験則に基づいたものであるため、その通りに相場が動くとは限らない。ただ、アノマリーはそれ自体が投資家心理を強気にも弱気にも動かすことも否定できない。

2016年1月相場は上昇するのか

前述したように2015年の東京株式市場は外部要因をきっかけとして、波乱の展開となった。今後も外部要因によって相場が振り回されることも考えられるが、日本株の動向を探るうえで大事なことは、企業業績への期待感ではないだろうか。

日本企業の業績拡大基調は変わっておらず、2016年度も堅調な業績が見込まれている。これまでの業績拡大の一因となった円安効果は今後薄れる可能性はあるが、足元で世界経済の不安要素となっている原油安は、原油を輸入に頼る日本にとっては、コスト削減などによって企業業績を押し上げる可能性がある。原油安によって国内外の自動車市場が活性化すれば、日本株の主要セクターである自動車各社にとっても追い風となろう。

輸出企業に限らず、内需企業も成長が見込まれるインバウンド需要などによる業績拡大が期待されている。2015年度本決算と2016年度業績への期待感が高まれば、12月に売り優勢となった投資資金が再び流入してくることが考えられる。

日本経済新聞社によると12月25日終値の日経平均株価のPER(株価収益率)は、15.30倍となっており、現状の日本株に特段の割高感はない。株価は上がり下がりを繰り返すものであるため、企業業績への期待感が剥落しない限りは、今後も堅調な株価が期待できるのではないだろうか。12月の下落は、これまでタイミングを逃してきた投資家にとっては、むしろ買い場を提供してくれたと考えることもできる。

果たして2016年1月は「1月効果」が発揮され、アノマリー通りに相場が上昇するのか。4年目に突入するアベノミクス相場が2016年も継続するのか、出だしとなる1月相場に注目が集まっている。(ZUU online 編集部)