(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

30代半ばで総合商社にお勤めのイツキくん。ばりばり働くエリート・サラリーマンだ。年収は1500万円とかなりの高給取りといえる。そんな他人もうらやむイツキくんにも悩みがある。職業柄、残業が多く休日出勤は当たり前。国内だけでなく海外出張もざら。たまの休みは寝ているだけで、「彼女を見つける暇もない……」。その上、裕福な家庭に育ち、本当は“ぼっちゃん”タイプのイツキくん。高給なのをいいことに、無駄遣いも多いし、最近では暴飲暴食のせいで学生時代よりも15キロも体重が増えた。「走り屋に女はいらねえ!」と強がっていた時期もあったが、やっぱり結婚したい…。

幼馴染みのタクミくんが、30歳そこそこで結婚して、かわいい奥さんと子供がいるのがうらやましい。そこでイツキくん、ノー残業デーにタクミくんを辰巳PAに誘い出して、どうしたらよいか相談してみた。

タクミくんの答えは意外なもの。「イツキも10年先、20年先、定年退職後を見据えて資産運用すればいいじゃん」なんじゃそりゃ? 「なあ、イツキ。俺思うんだけどさ。資産運用を実践するようになると経済や社会の流れが読めて、話題が豊富になるんだ。それに資産管理がしっかりしていれば、無駄使いもしなくなるんだぜ。当然、女性から見れば、頼りがいのあるようにみられるのさ」そのうえで「初心者の資産運用にはETFがいいよ」とアドバイスまでもらった。ETF? 新型のエンジンか? 何言ってんだコイツ? さらに「資産運用で最も大切なのはバランスなんだぜ」と熱く語るタクミくん。

俺もタクミに負けてられねえ!ということでイツキくんもETFで資産運用に取り組むことにした。それにしても、タクミくんの主張する資産運用で最も大切な「バランス」ってなんだ?

「運用で大切なのはバランスだ」

さて、ETFを活用した資産運用を始める前に「資産3分割法」という伝統的な考え方を理解する必要がある。これは資産を預貯金、有価証券(株・債券)、不動産の3つにバランス良く分散して運用するという考え方だ。最近では、これに「金(キン)」を加えた「資産4分割法」と言われることもある。

この考え方のもとになっているのは「複数の卵を一つのカゴに盛るな」という言葉だ。複数の卵を1つのかごに盛ってしまうとカゴを落とした時に、全部の卵が割れてしまうのを防ぐという意味である。卵を資産に置き換えると「資産を同質のものだけで構成してはいけない」ということになる。これがポートフォリオ運用のもとになる考え方だ。

金融資産は価格が上昇することもあれば、下落するときもある。これをリスク資産という。資産運用では、このリスクの最小化と同時に、どれだけリターンを獲得・最大化できるかということが問題になる。言い換えれば「リスクをどれだけコントロールできるか」が資産運用のポイントなのだ。つまり、これがタクミくんの主張する「バランスのとれた運用」ということになる。そして、そのバランスのとれた運用を可能にする「便利な道具」がETFなのである。

イツキくんの「ポートフォリオD」を作ってみる

ETFには様々な投資対象がある。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)のような代表的なインデックスに連動したETFもあれば、自動車・輸送機などのセクターに特化したETFもある。加えて、RIETと呼ばれる不動産投資信託や債券、コモディティ(金、銀、銅、白金など貴金属や原油、天然ガスなどのエネルギー資源、大豆、トウモロコシなど穀物等)の指数に連動したETFもある。また、中国やインドなどの新興国、或いは欧米などの先進国の株価や債券などの指数に連動したETFや、レバレッジ型やインバース型といったものも人気だ。これらすべてのETFが、証券取引所で売買できるのだ。

このように種類の豊富なETFを組み合わせることによって多彩な資産運用が可能となる。もちろん、先に紹介した「資産4分割法」もETFで実現することができる。「資産4分割法」を基本にして、自分なりにカスタマイズするのも良いだろう。

以上を加味したうえで、筆者がイツキくんのために考案した「ポートフォリオD」は下記の通りである。

①日本株式  20% MAXIS JPX日経インデックス400上場投信 <1593>
②高配当株  20% 上場インデックスファンド日本高配当 <1698>
③先進国株式 10% i シェアーズ先進国株ETF(MSCIコクサイ) <1581>
④新興国株式 10% 上場インデックスファンド海外新興国株式 <1681>
⑤不動産   20% iシェアーズ Jリート ETF <1476>
⑥ 金    10% 純金上場信託(現物国内保管型) <1540>
⑦遊撃軍   10%

アセットアロケーションは、日本株40%、外国株20%、不動産20%、その他20%で構成した。内訳となるポートフォリオは上記①〜⑦の通りで、日本株の半分を②高配当株に振り分けている。目下のところ、国内債券に連動したETFが存在しないこともあり、その代用で高配当型のインデックスを組み入れた。

外国株は③先進国株式、④新興国株式にそれぞれ10%振り分けた。新興国危機が取り沙汰されている昨今であるが、そんな状態が永久に続くわけではない。数十年のタームで見れば引き続き新興国は有望な市場であると考える。むしろ、将来的に円の価値が目減りするほうがずっと恐ろしい。そこで外国株にリスクヘッジする必要があると判断した。

有事に強い金、そして遊撃軍

その他は⑥金、⑦遊撃軍で構成。30代半ばで数十年という長期運用を見据えた場合、結婚や子育て、両親の介護といったライフイベントだけでなく、自然災害、公的年金制度の不透明など将来のリスク要因を軽視することはできない。終身雇用制度・年功序列が崩壊している現在、イツキくんの年収が右肩上がりで増え続ける確証はどこにもなく、勤務している総合商社が倒産する危険性もゼロではない。ぼっちゃん育ちで年収1500万円、しかも早く結婚したいと焦っているイツキくんが結婚詐欺にあう可能性もないとはいえない。万が一の事態に備えて、有事に強い金を10%組入れるのは必然と考えた。

⑦の遊撃軍は筆者が考えたオリジナルである。この資金は「数年単位の運用」を前提としながらも情勢の変化に応じて臨機応変に対処する。たとえば、将来有望と見られる特定のセクターに連動するETFにこの資金を投入する。と同時に状況に応じて他のセクターに乗り換えることも検討するほか、場合によっては海外RRITや海外債券などのアセットクラスに連動したETFの組み入れも視野に入れる。機動性の高いETFならではの特長を活かした遊撃軍である。

焦るな、動揺するな、熱くなるな

最後にETFを活用した自分ポートフォリオ運用の注意点「ロミオの掟」を紹介して、本稿を締めくくるとしよう。まず、長期運用に徹すること。短期売買には絶対に手を出してはいけない。短気は損気だ。どんな状況になっても、焦らない、動揺しない、熱くならない。目先の乱高下に一喜一憂しない。マスコミの報道を鵜呑みにしてはいけない。

長期投資は結婚生活に似ている。山あり谷ありだが、辛抱することが大事なのだ。大らかな気持ちで、少しずつ前に進むことが肝要である。それにしても、イツキくんが結婚詐欺にあわないか、それだけが心配だ。(鈴木ロミオ、金融ライター)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

【編集部のオススメ記事】
個人投資家に最適なETFでの口座開設はどこの会社がよい?
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)