生命保険は一度加入したらそのままでよいというわけではない。保険も常に進化しているし、生活環境の変更により必要な保障額も変わるからだ。もっとも、いつ見直す必要があるのか、あるいは、どこを見直すべきなのかについてわからないという人も多いだろう。そこで、ここでは生命保険見直しのポイントについて解説する。
保険の見直し時期はいつ?
生命保険の加入時期としては、 (1)社会人になったとき 、 (2)結婚したとき 、 (3)子どもが生まれたとき が多い。いずれも責任が生じたときあるいは責任が大きくなった時だ。
一方、結婚していて、子どもが既にいる場合には、いつ見直すべきなのだろうか。考えられるのは、(1)給与水準が上がりより充実した保険に入るか検討する場合、(2)これとは逆に、給与が下がり子供の成長に伴い支出が増えたり、住宅ローンの負担が増えるなど、保険料負担が重くなった場合、(3)子どもが増えるなど扶養者の数が増え責任が増加した場合、(4)予定利率の変更があった場合などだろう。
保険というのは、どれ位の利率で運用できるかを想定して保険料が計算されている。この利率が「予定利率」である。現在の予定利率は低金利下で極めて低く設定されているので、今後、金利が上昇した場合、新しく販売される保険料は安くなる。これに対し、現在加入している保険は金利が上昇したとしても保険料は変わらない。結果的に割高な保険料を負担し続けることになる。
もっとも、金利上昇による利益は配当として保険契約者に還元されるので、実質的に不利になるわけではない。とはいえ、金利が一時的に上昇し、その後金利が低下したような場合には、金利の高い時点で貯蓄性の高い保険の契約を締結しておけば、確実に安い保険料で大きなリターンが得られるので、金利上昇時に保険の見直しを検討することはとても賢い選択といえる。
保険の空白期間には注意、転換で対策
では、保険を見直しする場合、どのような点に注意すればよいのだろうか。今加入している保険とは別の会社の保険に加入するという場合には、保険期間に空白を作らないことが重要である。古い保険の解約日と新しい保険の契約日の間に空白が生じるとその間に万が一のことがあった場合に保障が受けられなくなるからだ。
事故などはいつ起こるかわからないので、たった一日空白でも、その日に事故にあれば1円も保険金が支払われない。したがって、今加入している保険会社と異なる保険会社に切り替える場合、多少保険料は無駄になっても保障期間が重なるようにすべきである。
同じ保険会社で保険を変更する場合には「転換」をいう扱いになることが多い。転換とは、今加入している保険を下取りしてそれを新たに加入する保険に充当するというものである。例えて言うなら、今乗っている車を下取りに出して、新車購入の頭金にするようなイメージである。生命保険を解約すると解約返戻金が支払われるので、その分を頭金に利用するのである。転換の良い点は、頭金を入れるので、毎月の保険料負担が少なくなることである。また、解約手続きをする必要がなく、保障期間に空白が生まれるということもないので安心かつ手続きが楽である。
ただ、頭金を入れるといっても月の保険料ベースではそれほど大きな金額が割り引かれるわけではなく、契約時の年齢が上がれば保険料も上がってしまうので、保険料がこれまでよりも高くなってしまうこともある。したがって、保障がどのように変わり、転換によって保険料がどれかけ軽減されるのか、しっかり確認するようにしてほしい。
お宝保険の解約・転換には注意
また、保険の見直し時には今加入している保険がお宝保険である可能性があるので、そのような場合には手放さないようにすべきである。お宝保険とは、たとえば予定利率が高い時期に加入した保険などである。かつてのバブル期には予定利率が5%などという時代もあり、その時に加入した保険は、今でも5%の運用が約束されている。このような保険は、保険会社が赤字になっているので積極的に転換を勧めてくる。このようなお宝保険は解約あるいは転換すると損してしまうので要注意である。
生命保険の加入者が知っておくべき5つの見直しポイント
(1)見直しの手段 安易な転換には注意
生命保険を見直す場合、今加入している保険会社の転換を利用するか、他社の保険に切り替えることが多いと思う。しかし、保険は1つでなければならないというわけではないので、保障額を増額したいという場合、今加入している保険はそのままにしておいて、必要な保障額の分だけ追加で保険に加入するという手段もある。生命保険は年齢が上がると保険料も上がるので、安易に転換せず、安く加入した生命保険を維持した方がよい場合もある。
(2)終身保障の金額 定期保険と終身保険の割合に注意
「転換をした場合、保障額は増えて保険料も安くなります」とセールスされることがあるはずだ。しかし、保障額も増えて、保険料も安くなるにはカラクリがある。保障額は終身保険と定期保険で構成されているが、定期保険は終身保険に比べ極端に保険料が安い。たとえば、定期保険1500万円、終身保険が500万円の場合、死亡保障額は2000万円となる。これを、定期保険2000万円、終身保険200万円の保険に切り替えた場合、死亡保障額は2200万円と増えるが、終身保障は減額されている。この点は見落としがちなので、しっかり確認して欲しい。
(3)支払期間 保険料を安くするテクニック
保険料を安くするテクニックとしては、保険料支払い期間を長くするというのがある。たとえば、当初加入していた保険は60歳で払込期間が満了するものだったのに、見直しする際に知らないうちに65歳や70歳に払込年齢を伸ばされていることがある。定年が60歳の場合、その後働けるかどうかはわからないので、この点も注意が必要である。
(4)更新の時期 更新期間を短いと保険料は安くなるが…
主流である生命保険は定期保険と終身保険が組み合わされているが、見直しの際に更新時期が変更される場合がある。たとえば、元々の保険は、加入時点から保険料払い込み満了時点まで定期保険だったのに、見直し時には10年更新の定期保険に変更されるというものだ。定期保険は更新期間が短くなるほど保険料は安くなるという特性を利用して保険料を安くしている。しかし、更新期間を短くすると更新の度にその年齢で保険料が再計算されるので、どんどん保険料が上がることになるので注意して欲しい。
(5)保険会社選び ネット生保は知識がないと厳しい?
かつては保険営業職員からの加入がほとんどであったが、最近はネットでの生保も増えてきている。コストが掛からない分、ネット生保の方が保険料は安くなる。しかし、保険の知識がないと適切な保険に加入できず、いざというときに役にたたないということもありえる。
このように、生命保険を利用する場合にはしっかり知識を身につけてから、FPなどの保険の専門家に相談することをお勧めする。(ZUU online 編集部)
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