経済動向と住宅市場
2015年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率1.0%に上方修正され、2四半期連続のマイナスは回避された。しかし、2015年10-12月期は消費関連を中心に低調な指標が多く、再びマイナス成長に陥る可能性がある(*1)。総務省の家計調査によると、12月の実質消費支出は冬物衣料の低迷などから前年比▲4.4%となり4カ月連続で減少した(*2)(図表-1)。
ニッセイ基礎研究所は、昨年12月に2015年度から2017年度の経済見通しの改定を行った。実質GDP成長率は2015年度1.1%、2016年度1.6%、2017年度0.0%を予想する(図表-2)(*3)。2016年度の成長率は企業の設備投資拡大や消費税率引き上げ前の駆け込み需要から高くなるが、2017年度はその反動から大きく低下する見通しである。
住宅市場は価格が上昇するなか、全体ではまだら模様の状況が続く。2015年12月の新設住宅着工戸数は前年比▲1.3%の75,452戸となった。2015年は前年比1.9%増加の約90.9万戸となり、消費増税の影響で大幅に減少した昨年から持ち直した(図表-3)。
このうち、貸家は4年連続で増加の+4.6%、分譲マンションは+4.7%と2年ぶりに増加した。2015年の首都圏のマンション新規発売戸数は、前年比▲9.9%の40,449戸となり2年連続で減少した。1戸当たりの平均価格は前年比9.1%上昇の5,518万円で1991年以来の高い水準となった。不動産経済研究所は、2016年の供給戸数を6.3%増加の4.3万戸と予想している(図表-4)。
東日本不動産流通機構(レインズ)によると、2015年第4四半期の首都圏中古マンションの成約件数は8,391件(前年同期比+5.1%)、2015年は3万4,776件(前年比+2.9%)で2年ぶりに増加した(図表-5)。
成約価格は前年比+6.1%の2,892万円となり3年連続で上昇した。また、日本不動産研究所が発表した2015年11月の住宅価格指数(首都圏の中古マンション)は、前月比で7カ月連続の上昇、前年比では2年6カ月連続で上昇している(図表-6)。
今後の住宅市場は、来年の消費増税対策として実施されるすまい給付金増額や住宅取得の贈与税非課税枠拡大、マイナス金利導入後の住宅ローン金利の動向、タワーマンションの節税規制の影響などが注目される。