地価動向

商業用不動産に対する投資意欲は引き続き強く、インバウンド需要を取り込む店舗・ホテルへの投資拡大や都市部におけるマンション需要などを背景に地価の上昇が続く。国土交通省の「地価LOOKレポート(平成27年第3四半期)」によると、前期から上昇した地区の比率は、東京圏で95%、大阪圏で88%、名古屋圏で100%、地方圏で65%、全体で87%となり、下落地区は5期連続でゼロであった(図表-7)。

野村不動産アーバンネットによると、首都圏住宅地価格の変動率(2016年1月1日時点)は前期比0.5%上昇し2013年7月以降連続でプラスとなっている。年間の変動率は首都圏全体で1.8%上昇し、東京都区部など全てのエリアで価格が上昇した(図表-8)。

不動産クォータリー・レビュー5

不動産サブセクターの動向

◆オフィス

東京のオフィス市場は、空室率が大きく低下している。三鬼商事によると12月の都心5区空室率は前月比0.16%低下の4.03%となり、オーナー優位の目安とされる5%を6カ月連続で下回った。他の主要都市の空室率も軒並み低下している(図表-9)。

三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発したオフィスレント・インデックスによると、2015年第4四半期の東京都心部Aクラスビル賃料は前期比▲7.8%下落の32,872円となった(図表-10)。

過去2期で14%超上昇した反動から下落したものの、前年比では15期連続でプラスを維持している。森ビルの調査によると、2016年の大規模ビル(東京23区)の供給量は107万㎡で過去平均(103万㎡)をやや上回る見通しだが、ニッセイ基礎研究所では現在の賃料上昇サイクルは少なくとも今年いっぱい維持するとみている。

不動産クォータリー・レビュー6

◆賃貸マンション

東京都心5区のマンション賃料は、引き続き上昇基調にある。2015年11月は、前年比で千代田区(+8.6%)、中央区(+6.2%)が大きく上昇した(図表-11)。

また、東京の高級賃貸マンションについても空室率の低下に伴い賃料が上昇しており、12月は前年比3.5%上昇の15,979円/月坪となった(図表-12)。

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