日経平均株価予想
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ついに、2月12日、日経平均は引け値で15000円を割りこんだ。2014年10月21日以来、1年4カ月ぶりの15000円割れだ。年初の19000円の高値から1ヶ月半ほどで4000円の下落で2割以上下げたことになる。今週に入り反発局面とはなってはいるが、金融機関のコメントはだいたいが「安心してください。上昇しますよ」という。はたして信用できるのだろうか。

相場の予想はプロにも難しい

正直に言って、金融機関にいるプロでも相場の判断は難しい。年初に、テレビ東京のモーニングサテライトで、ストラテジストによる今年の日経平均予想をやっていた。強気派代表の大和証券の木野内栄治氏は、日銀が新たな金融緩和を実行することで年末2万8000円を予想した。弱気派のBNPパリバ証券の丸山俊氏は、世界的なリスク回避で年末1万6000円を予想した。まだ2月なのであくまで途中経過ではあるが、ストラテジストのランキングに入るような著名なプロのストラテジストの予想でもこれだけレンジに違いがある。

金融機関は決して適当な事を言っている訳ではない。経済のファンダメンタルズ、テクニカル、需給関係などの条件を過去のパターンから分析した上で確率の高い予想をだしているのだ。前提条件が変われば、予想も大きく変動する。

リーマンショック後でもそうであったが、テールリスク(発生可能性は少ないが発生したときには大きな影響を与える事象)が市場をおそった場合は、予想した時点での前提となる情報が変化しているため、過去の分析があまり役にたたないことが多いのだ。

個人投資家として出来ることとしては、あまり相場を決めつけず常にベストシナリオ、ワーストシナリオを意識して柔軟な体勢をとっておく必要があるだろう。ある時点での相場予想にしがみつくのではなく、予想の前提となる情報を確認しその変化を見極めることの方が重要だ。

上昇相場シナリオ

現在、上昇シナリオを予想するアナリストのロジックは次の通りだ。日経平均株価は、世界景気後退、原油安、中国など新興国の通貨・株価安などでしばらくは低迷するものの、3~4月の安くなったところで参議院選挙を見据えた政府の景気対策と日銀の追加緩和が入り、伊勢志摩サミットが行われる6月にかけて上昇するというシナリオ。安倍政権のこれまでの動きを考えるとこのシナリオには説得力がある。

ただし、ネックは世界経済だ。昨年12月に9年ぶりの利上げ局面に入った米連邦準備制度理事会(FRB)が、利上げを見直し再び量的質的緩和政策に入るなど米欧日の世界金融緩和がベストシナリオなのではないだろうか。金融緩和で、新興国の経済が正回転し始め、資源バブルの崩壊が落ち着けば、世界株高ストーリーが描けるだろう。

下落相場シナリオ

次の相場が下落する場合のシナリオを確認しよう。世界のデフレ局面入りがもっとも厳しいシナリオだ。「原油・資源安→世界景気後退→原油在庫増→原油・資源安」といった負の連鎖が続き、米国もデフレ局面に入ってしまうと相場の下値模索期間は長くなる可能性が強い。

日本はバブル崩壊で、「失われた20年」という世界が未体験の長期のデフレを経験した。米国株と日本株は、短期では相関性が高く感じるだろうが、長期で見るとかなり乖離している。

たとえば日本のデフレが始まる1990年からの過去25年で比較しよう。米国ダウ平均は、1990年末から、2015年の末まで6.5倍になった。一方、日経平均1990年末から2015年末までのパフォーマンスはマイナス20%。これだけの差がついている。この乖離を生み出した主因はGDP成長率の違いだ。米国の名目GDPは1990年の5兆9795億ドルから2015年(IMFの2015年10月時点での推計)の17兆9682億ドルまで3倍になっているのに対し、日本の名目GDPは1990年の449兆3923億円から同2015年の499兆8222億円まで11%しか増えていない。まさに日本は失われた20年で停滞しているときに、米国は順調に経済成長をつづけていたのだ。

日本のデフレの教訓があるからFRBは利上げをしたかったという見方もある。利上げしておけば再び金融緩和という手の内があるからだ。この意思に反して、米国がデフレに入ってしまったら、世界株の調整は長引かざると考えざるを得ない。

個人投資家は長期投資で気長なスタンスで

ただ下げ局面では、個人投資家が機関投資家よりも有利な点もある。機関投資家はどんな相場でも四半期ごとのパフォーマンスを同業他社と比較されるから、「長い目でみれば買い」といって含み損を無視して買い下がることはしづらい。30年後には自分が運用しているわけではないのだ。個人は、含み損はあくまで含み損。トータルの資金管理さえできているなら買い下がるという作戦がとれる。

また、個人は、危険な局面では全資産をキャッシュなど安全資産にすることも可能。機関投資家は、ファンドによって違うが、運用に占めるキャッシュポジションの上限が決められていることが多い。下げ相場では、個人の長期資金ならではの利点を活かそう。プロでも判らない市場を、徹底した長期投資が可能な個人があまり目先のことにとらわれていても仕方がない。ベストシナリオ、ワーストシナリオを意識しながら、各自のライフプランに基づいて、長期の分散投資を淡々とやっていくしかないのではなかろうか。

平田和生(ひらた・かずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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