債券王の異名をとるビル・グロス氏は、欧州や日本のマイナス金利政策が今後数年にわたり、ゴールドマン・サックスを始めとする大手銀行やプルデンシャルなどの大手保険会社におよぼす影響について、「世界経済は太陽のように燃え尽きる」とネガティブな見解を示している。
マイナス金利から保険会社は利益を生み出せるのか?
世界屈指の資産運用会社、パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の創立者として知られるグロス氏。現在チーフ・インベストメント・マネージャーを務めるジャナス・キャピタル・グループのWebサイトで、「長年にわたり生命と生産性向上の源であった太陽がエネルギーを失いつつあるように、ファイナンスに依存した経済システムも限界に近づいている」と警鐘を鳴らした。
国際的な金融規制強化に加え、欧州や日本でもマイナス金利が定着した近年、グロス氏はゴールドマン、シティ・グループ、バンク・オブ・アメリカといった「国際大手銀行の株価が2007年の全盛期レベルにまで再騰する望みは薄い」と見ている。
それと同時に、資産運用で生み出した利益で保険金を支払うことによって経営が成り立つプルデンシャル、ハートフォード、メットライフなどの保険会社の今後を危険視している。
米マイナス金利の「副作用」で大手銀行は衰退期に突入
グロス氏の悲観的な警告の背景には、世界的な経済混乱はもちろん、各国のマイナス金利政策による「副作用」への危機感が強くあらわれている。
長期間にわたる米国のマイナス金利から巨額の利益を得た国際大手銀行が、衰退期に突入した感がぬぐえない。
また全世界の負債額は2007年から2014年の間に57兆ドル(約6472兆3500億円)も増えているにも関わらず、総債務残高の対GDP比には変化が見られていないことが、昨年の米マッキンゼー&カンパニーの調査からも明らかになっている。
昨年12月の米利上げが「遅すぎる」と発言するなど、以前から低金利政策があくまで短期集中的な対応策であることを何度も警告を発してきたグロス氏にとって、現状を目の当たりにしてもマイナス金利に走る欧州や日本に焦燥感を禁じえない――といったところだろう。(ZUU online 編集部)
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