平均寿命が伸びるにつれて老後に必要な費用も大きくなっていくことが予想されます。老後を安心して暮らすためにも貯蓄は重要です。2020年4月に明治安田生命が行った調査(※明治安田生命 「家計」に関するアンケート調査)によると40代の平均貯蓄額は1,160万円でした。しかし、「そんなに貯蓄していない」という人も多いでしょう。

そこで、ここでは目標額の貯蓄を達成させる方法など、貯蓄についてさまざまな観点から考えていきます。

40代男性・女性そして世帯の平均貯蓄額はいくら?

貯金,計算
(画像=PIXTA)

2020年4月に行った明治安田生命の「『家計』に関するアンケート調査」によると、40代男性における2020年の平均貯蓄額は1,272万円でした。2019年は前年比で平均貯蓄額が落ちたものの2020年では再度増加しています。

(画像=明治安田生命「『家計』に関するアンケート調査」よりZUU online編集部作成)

40代女性では、2020年の平均貯蓄額は1,047万円でした。男性よりも低い結果となりましたが、男性が2019年に下落した一方、女性は上昇しており、2018年と比べると約1.2倍になっています。

(画像=明治安田生命「『家計』に関するアンケート調査」よりZUU online編集部作成)

2020年の男性40代の平均貯蓄額1,272万円、女性40代の平均貯蓄額1,047万円から、40代全体の 平均貯蓄額は、おおよそ1,160万円と逆算できます。

2020年においては、男性・女性ともに40代の平均貯蓄額が1,000万円を超えています。40代は、本格的にお金が貯まりだす時期だと言えそうです。

次に貯蓄の目的について見てみましょう。40代男性で貯蓄目的として一番多かったのは「将来のため」で73.8%です。次いで「いざというときのため」が60.0%、「子どもの教育資金のため」40.0%(複数回答)となっています。

40代女性においても、貯蓄の目的は概ね男性と同じようです。「将来のため」が71.7%、次いで「いざというときのため」が56.7%、「子どもの教育資金のため」が46.7%となりました。割合にわずかな差はありますが、上位3位までの順位は男性と全く同じとなりました。

老後に向けていくらの貯蓄が必要?

40代の世帯が貯蓄をする目的として最も多い理由は「将来のため」でした。しかし、実際には老後に向けていくらの貯蓄が必要なのでしょうか。退職後に入ってくるお金と、退職後の出費から、以下のように見ていきましょう。

【老後に向けていくらの貯蓄が必要か 計算する方法】
1:退職後に入ってくるお金を計算
2:退職後の出費を計算
3:1と2から赤字額を算出し、老後の期間を乗じて計算
4:退職金があれば差し引く

年金など退職後に入ってくるお金 

厚生労働省が公表している「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(2018年)」によると2018年度における厚生年金保険(第1号)の平均月額受給額は14万5,865円でした。サラリーマンの配偶者の場合、満額で月約6万5,000円(2020年度の場合、年額78万1,700円)の老齢基礎年金を受給できます。つまり、夫がサラリーマンで妻が専業主婦のケースの目安は、平均で約21万円(14万5,865円+約6万5,000円)と考えることができます。

受け取れる年金は、現役時代の収入などで変動します。上記はあくまで目安として考えましょう。

退職後の出費はどれくらいか

総務省統計局の「家計調査(2019年)」によると、65歳以上の世帯(2人以上世帯)では月に平均で25万2,738円の消費支出をしているようです。

【65歳以上世帯(2人以上世帯) 月の支出額の大きい項目】
○食料 7万1,912円
○その他の消費支出:5万4,737円
 (内交際費 2万3,757円)
 (内諸雑費 2万2,334円)
○交通・通信 3万34円
○教養・娯楽 2万5,262円

なお、全年齢の世帯(2人以上世帯)の消費支出の平均は、月に29万3,379円です。65歳以上の世帯は全体より約13.9%支出が少ないですが、大きな差があるとまでは言えません。

退職後は支出が減りそうなイメージを抱きがちですが、現役時とそう変わらない出費があると想定したほうがよいでしょう。

理想の貯蓄額を算出。目標設定する

上記の収入と出費の調査から単純に考えると、退職後の収支は以下のようになります。

【退職後の収入と出費】
退職後の収入:月に約21万円
退職後の出費:月に約25万円
退職後の収支:月に4万円の赤字

月の赤字額が分かったので、後は老後の期間を仮定すれば貯めるべき貯蓄額が計算できます。

今は「人生100年時代」と言われているので、65歳で退職し、100歳まで生きると仮定してみましょう。この場合、退職後の期間は35年間(420ヶ月)です。したがって、貯めるべき貯蓄額は以下のようになります。

4万円 × 420ヶ月 = 1,680万円

もちろん、これは1つの目安です。老後の出費を大きくすれば貯めるべき貯蓄額も大きくなります。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2019年)」によると、ゆとりある老後生活費は月に平均36.1万円となっています。この場合、月の赤字額は15万1,000円となるため、貯めるべき貯蓄額は6,342万円となります。

「退職金」が支払われる場合は、貯めるべき貯蓄額から差し引いて考えましょう。厚生労働省の「就労条件調査(2018年)」によると、退職金の平均は以下のようになっています。

【退職金の平均(勤続25年以上&45歳以上の定年退職者)】
大卒(管理・事務・技術職):1,983万円
高卒(管理・事務・技術職):1,618万円

退職金の額については、人によりばらつきがあります。会社に問い合わせ、制度の内容や金額の目安を聞いておくとよいでしょう。

まずは、自分が老後にどのような生活をしたいのか、理想の老後をしっかり想定しましょう。そして、上記のように退職後の収支から貯めるべき貯蓄額を計算し、目標にしましょう。

40代のための賢い貯蓄方法3つ

40代の平均貯蓄額は1,160万円となっていますが、「自分はそんなに貯蓄がない」という人もいるでしょう。また、20~30代の人からすれば「40代で1,160万円の貯蓄を作るのは難しい」と感じる人も多いのではないでしょうか。平均貯蓄額を実現するには、より計画的に貯蓄を進めていくことが必要です。しかし、なかなか貯蓄を計画的に進めることは難しいものです。 そこで、40代のための賢い貯蓄方法を3つご紹介します。

1.貯蓄アプリを活用し、現状を把握。無駄を省く

貯蓄アプリは、目標を立てるなど貯蓄をサポートしてくれる機能がついています。よく似たものに家計簿アプリがありますが、こちらは家計を明確にすることを目的に作られています。例えば、貯蓄アプリには以下のような機能があります。

・目標額までの達成率を表示して楽しく貯蓄ができるもの
・銀行口座と連携して自動で貯蓄ができるもの
・デビットカードやクレジットカードと連携しているもの
・買い物のたびにおつりを貯蓄できるもの
・貯蓄のモチベーションを高めるお金の使い方を提案してくれるもの

特に銀行口座と連携しているものであれば貯蓄する口座への振替処理なども必要なく、スムーズに貯蓄がしやすい仕組みをつくることができます。

2. 先取り貯蓄

貯蓄を上手に行う方法の1つが先取り貯蓄です。先取り貯蓄とは、給与やボーナスを受け取ったら、使う前にすぐに貯蓄に回してしまう方法です。

「使った残りのお金を貯蓄」では、なかなかお金が貯まりません。設定した目標から月に必要な貯蓄額を逆算し、先に貯蓄に回してしまいましょう。

例えば、現在40歳の人が65歳までに1,000万円貯める場合、月に約3万4,000円の貯蓄が必要です。給与やボーナスの支給直後に3万4,000円を引き落とすよう設定すれば、自動的に先取り貯蓄が可能です。

また、会社に財形貯蓄の制度がある場合、給与から天引きで貯蓄できます。より確実に先取り貯蓄ができるのでおすすめです。

3.固定費の見直し

先取り貯蓄の仕組みを作ったら、出費も見直しましょう。生活が苦しいと、せっかく貯めた貯蓄を引き出してしまうかもしれません。特に毎月固定で支払っている固定費を見直すと、家計が楽になりやすいでしょう。

近年、見直しやすくなっているのが通信費です。通信費の安い格安スマホのほか、キャリア各社も低廉料金プランを発表しています。また、あまり利用していないサブスクリプション(月額の定額サービスなど)や会員費などがあれば見直しましょう。

固定費の見直しは、家計簿アプリを利用すると便利です。ひと月利用すれば大体月の出費が洗い出せるので、見直せるものがないか確認しましょう。固定費の見直しは、金額の大きいものから行うと効率がよく、おすすめです。

貯蓄は無理なく確実に

上述したように、40代の平均貯蓄額は1,160万円ですが、貯蓄のペースや老後に必要な額は、人によって異なります。とはいえ、貯蓄は多いに越したことはありません。貯蓄アプリを使用したり、貯蓄用の口座を開設したりするなどして、自分に合った貯蓄方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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