多くの人は長寿を願うものだが、長生きすること自体がリスクになると考えている人はどれくらいいるだろうか。少子高齢化の影響で公的年金の支給額が減少する中、豊かな老後を過ごすためにはどうしたらよいのか、今回は考えてみたい。
公的年金支給額
公的年金の支給額の平均は2014年度で、国民年金が4万9,994円 (自営業者) 、厚生年金が14万4,866円 (サラリーマン等) にすぎない (厚生労働省「平成26年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より) 。到底これだけでは生活が維持できない。不足分は自分で準備しておかなければならないのだ。
それでは、いくら準備しなければならないのだろうか。たとえば最低でも月額30万円は必要だと考える場合、定年を65歳だとすると、それから亡くなるまでの期間にわたって必要ということになる。平均余命 (平均寿命を男性80歳、女性86歳とした場合) で考えると、男性であれば65歳から80歳までの15年間の生活費が必要ということだ。具体的には、30万円から厚生年金の約15万円を引いて、15万円×12カ月×15年=2,700万円が不足するということになる。その他、突発的な費用も考えなければならないので、3,000万円以上は必要ということになる。
大手企業などの正社員の中には、「退職金があるので大丈夫」と考える人もいるかもしれないが、勤続20年以上の大卒の管理・事務・技術職の退職金の平均額は1,940万円にすぎない (厚生労働省「平成25年就労条件総合調査結果の概況」) 。比較的退職金に恵まれている人でも1,000万円以上も足りないのが現実なのだ。
マネープランの作成
1,000万円以上のお金を準備するという場合、高額所得者でない限り計画的に準備しなければならない。そのためには、マネープランを作成することが有効だ。マネープランとは、簡単に言うとお金が必要になる時期とそれに向けた資金計画のことだ。「ライフプラン」あるいは「ライフイベント表」などとも言われている。
マネープランの作成方法に決まりはないが、一般的に横に時間軸を取り、そこで発生するライフイベントを記入していくことになる。縦軸には家族がいる場合、家族の名前を記載し、時間軸と交差するところでかかる費用 (教育費、住宅費、車輌費、老後の費用等) を計上していく。そうすることで、いつ、誰にお金が必要になるかが一覧でわかるようになるのだ。
マネープランの良いところは、思いのほかお金が必要であることがわかることと、全体を俯瞰することで支出時期までに計画的に資金を準備することができるようになることだ。ここで必要資金額を算出したら、それに向けて貯蓄ないし投資で資産運用をしていくことになる。
資産運用の基本
資産運用においては絶対というものはない。どれだけリスクを取れるのかを考えながら、目的額を達成するようにすることが大事だ。
資産運用を始めるにあたって、まず資産運用におけるリスクとは何かについて理解しておくことが重要になる。ここで、「リスク」という言葉を危険度と思われている人もいるが、金融の世界でリスクとは値動きの振れ幅のことを意味する。値動きの振れ幅が大きいということは大きな損失が生じることがあるが、大きな利益も得られる可能性があるということだ。
マネープランにおいて資産運用を考える場合、一番重要なのは資産配分になる。資産運用というと、株に投資することなどをイメージする人が多いと思うが、1つの金融商品にだけお金をつぎ込むことは非常に危険なことだ。つまり、株だけに投資するのではなく債券や預貯金、通貨ならば円だけでなく外貨も保有するという具合だ。あまり難しく考える必要はなく、多くの金融商品に少しずつ投資することが大事なのだ。
サラリーマンならば毎月一定の給与があるはずなので、それを積み立てることから始めるのが基本となる。ほとんどの人は既に何らかの預貯金はしていると思うが、最近ではネット銀行も増えてきており、いわゆるメガバンクに比べて高い金利が設定されている。また、振込手数料を一部無料としている銀行もあるので、これらをうまく活用することも立派な運用といえる。小さな額でも長い時間では大きな違いになるからだ。また、老後資金を前提にするならば、財形年金などもよい。その他にも株式や債券の投資信託かETF (上場投資信託) に投資するという方法もあるので、挑戦してみてはいかがだろうか。(提供: 大和ネクスト銀行 )
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