最も注目されるのは非農業部門雇用者数
では、雇用統計はどのように見ればよいのだろうか。公表される十数目の項目の中でも特に重視されるのが、「非農業部門雇用者数」と「失業率」だ。非農業部門雇用者数とは、農業以外の部門に属する事業者の給与支払い帳簿を基に集計された雇用者数のことだ。失業率は家計調査を基にしており、労働人口における失業者がどれくらいの割合かを示す指標だ。失業率は景気に遅行する傾向があり、景気動向をより敏感に反映するとされる非農業部門雇用者数の方が注目度は高い。
非農業部門雇用者数の見方としては、前月比でどれだけ雇用者が増減したかを確認することが重要だ。景気判断の目安としては、前月比20万人以上の増加なら回復局面にあるとされている。ただし、国税調査やクリスマス商戦前の臨時雇用など、一過性の要因で数値が上がることもある。
事前予想との差が重要なポイント
一般的には雇用統計の数値がよければ、為替相場はドル買い・円売りに動く。しかし、単純に判断できない場合も多いので注意が必要だ。重要なのは市場の事前予想 (コンセンサス) との比較で、事前予想からどれだけ上下に乖離するかがポイントとなる。雇用の安定を目標とするFRBの金融政策にも影響を与えるためだ。
一例を挙げると、2015年11月に発表された米10月雇用統計は予想を上回る内容だったため、発表後、米ドル/円は短時間で約1円以上も上昇した。
一方、予想より上ブレしても市場の反応が鈍いケースもある。2016年4月発表の米3月雇用統計は、非農業部門雇用者数、平均時給ともに予想を上回るという概ね良好な結果だったにもかかわらず、ドル買いトレンドには結びつかなかった。早期利上げを正当化するほど強い内容ではなかったと市場は判断したとみられる。
利上げ時期の予測についてはシカゴ・マーカンタイル取引所 (CME) が、金利の誘導目標が変更される可能性を確率で表した「Fedウォッチ」を公表しているので、これを併せて参考にするという方法もある。
相場は先々の景況感を織り込みながら推移するもので、利上げの可能性が高まったり、減退したりするだけで市場は大きく動く。利上げ判断に影響を与える雇用統計は、ますます注目度が高まっている。毎月の発表時には最新情報をキャッチして、資産運用に役立てたい。(提供: 大和ネクスト銀行 )
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